ヘンリー王子の慈善団体を英当局が「調査」へ 「メーガン妃への支持要求」が火種の“嫌がらせといじめ疑惑”に「自業自得」「どっちもどっち」の声

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理事が指摘する「理事長の独裁」

 一方、元理事で英保守党の元議員、ダイアナ妃の友人でもあったリンダ・チョーカー氏は英紙「タイムズ」(3月27日付)に対し、辞任の理由はチャンダウカ氏の「ほとんど独裁的と言ってもいい」やり方にあったと明かした。チョーカー氏が昨年11月に辞任したあと、理事1人とチーフ・エグゼクティブがその後を追ったという。

 加えて情報筋は、センテバレの安定した財政状態はチャンダウカ氏の理事長就任後に変化したと証言している。巨額のコンサルタント費を独断で支払う動きなどを受け、理事会はチャンダウカ氏の解任に動いたが、対抗手段として訴訟を持ち出されたため、2人の王子と残りの理事の一斉辞任に至ったという。別の記事では、コンサルタント費が40万ポンド(約7720万円)以上だったことも報じられた。

 同紙はこれまで、ヘンリー王子とメーガン妃に好意的だったわけではない。ただしセンテバレの件については、ヘンリー王子よりも「慈善団体の内紛」に重きを置いている。この背景には、慈善事業が盛んな英国のプライドと、センテバレにおけるカネ絡みのトラブルが初めてではない事実があるのだろう。

 センテバレは2006年、ヘンリー王子とセーイソ王子によって設立された。2023年のヘンリー王子来日も実はこの団体としてだ。設立の目的はHIV/エイズや貧困に影響を受けた同国と南アフリカの子どもたちの支援。ヘンリー王子にとっては亡き母、ダイアナ妃への敬意も設立理由の1つである。その志に共鳴する向きは多く、設立当時から多くの資金を集めた。

 しかし、2008年に公表された最初の会計報告で、実際のプロジェクトに渡った金額が著しく低い事実や、理事長を含むスタッフへの巨額報酬などが判明。翌年には理事長の交代といった手段で健全化を図る事態に見舞われた。

「ハリーとメーガンがやったこととまるで同じ」

 チャンダウカ氏の側からは「差別意識が高く慈善団体で好き放題している特権階級」、理事の側からは「慈善団体の悪用を目論むワンマン理事長」という絵が浮かぶ。ただし、騒動はいまだ渦中。4月3日には慈善事業の監視機関が調査の開始を発表し、どちらが正しいという判断ができる状況ではない。ヘンリー王子は同日の声明でこれを歓迎し、チャンダウカ氏を批判した。

 それでも聞こえてくるのは「自業自得」という声だ。“黒人女性が白人特権階級の差別意識を指摘する”という行為は、メーガン妃の専売特許。英紙「デイリー・メール」の読者コメントには、手厳しい内容が並ぶ。

「ハリーとメーガンが王室と英国全体に対してやったこととまるで同じだ」
「たぶんメーガンから演技を習ったのでは?」
「メーガンはパワーと教育のある女性たちを支持し、声を上げるよう呼びかけているのに、この件では驚くほど沈黙を守っている」

 併せて「被害者カードを切っているのは理事長では」「どっちもどっち」という声も高まっている。どんな背景があろうとも、市井の民からは「金のなる木をめぐる泥仕合」に見えてしまうのは仕方がない。この状況を憂う「タイムズ」紙ではコラムニストのジャワド・イクバル氏が、騒動により慈善事業に対する国民の信頼が損なわれる「現実的なリスク」を挙げ、さらにはこう一喝した。

「問題となっているのは、センテバレおよび争い好きで自尊心の高い集団の運命だけではない」

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