「もう一度、ちあきなおみと出逢える」朗読劇が上演へ 本人役の“声優”が明かす「伝説の歌手」の魅力

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郷さん役が……

「ちあきなおみと出逢えたことを幸せだと思いなさい」

 郷鍈治は古賀氏にこう言ったという。

「あの照れ屋だった郷さんが、一点の恥ずかしげもなく言われたとき、郷さんこそ本当にそう思っているのだと感じました。だから己をすてるほどにちあきさんを愛して、尽くしぬいた郷さんの死の立派さ、そしてちあきさんの覚悟ある引き際は、本当に美しい。僕には、ちあきなみと郷鍈治を引き離して考えることはできません」(古賀氏)

 ちあきを演じた二人も、夫婦の固い絆を感じ取っている。

「あの強力な信頼関係は、魂の部分でお互いを理解し合っていたのだなと、強く思います」(恒松)

「でも、郷さんの前では、ちあきさんは凄く可愛らしく振る舞っていたのだろうなと思うんです。仲が良いのはもちろん、心の底からお互いを信頼する間柄だったんでしょうね。羨ましいです」(柚木)

 朗読劇中、両チームで郷を演じるのは、ベテランの中尾隆聖。リハーサルでの出来事を、二人は声を揃えて、こう言った。

「中尾さんがカッコよくて! 本気で惚れちゃいそう(笑)。自然とちあきさんになることができました。カッコいいと言っても、イケメンじゃないんです……男前!」

 二人がとにかく絶賛する、中尾演じる郷鍈治にも要注目だ。

復活の幕が……

 劇中では、ちあきの曲がいくつか流れるが、演じた二人に、好きな曲をあげてもらった。

「やはり『喝采』ですね。改めて聴くと、歌詞のせつなさ、奥深さが理解できました。若い頃とは違い、いまは歌の世界観が理解できます」(柚木)

「私は『祭りの花を買いに行く』です。初めて聴いた時、それまで抱いていた、ちあきさんのイメージと違っているので衝撃を受けました。声も、迫力ある他の曲とは違い、詩にある情景が見えてくるようです」(恒松)

「伝説の歌手」を演じるにあたり、二人とも本人の真似をするのではなく、台本を読み込んだうえで自身のイメージをもとにちあきなおみを演じているという。原作者の古賀氏は、最後にこう語る。

「ちあきさんはよく『ちあきなおみはもういないの』と仰っていました。僕もそのように思い、今もこの言葉を噛みしめています。でも、まだまだ歌って欲しかった。ちあきなおみが遺した歌の続編は、誰にも歌えません。最近、ちあきさんが復活のステージに立つ夢を何度も見ました。しかし今回、夢ではなく、劇場で復活の幕が開きます。そして天国の郷さん……僕はこの朗読劇のステージの上で、もう一度、ちあきなおみと出逢えることを幸せに思っています」

(文中敬称略)

デイリー新潮編集部

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