「ネズミ混入」全店閉鎖で「30億円」が吹っ飛ぶ? なぜ「すき家」はトラブルばかり目立つのか 専門家が解説
牛丼チェーンの「すき家」が、3月31日から4日間、全店舗の一時休業に入った。衛生面の対策を行うため、ショッピングセンター内などの店舗を除く全国の約1900店で営業を取りやめたのだ。
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【閲覧注意】「大きい死骸が丸ごと…」 「ネズミ混入みそ汁」の実際の画像
社会部記者は言う。
「そもそものきっかけは、今年1月21日、鳥取県の店舗で提供された味噌汁にネズミの死骸が入っていたとGoogleマップに画像が投稿されたことでした。あまりのインパクトにネット上では“合成では?”と疑われたほどです。ところが、2カ月後の3月22日、すき家が事実を認めて謝罪。原因として、従業員が提供前に商品状態の目視確認を怠ったためとしていました」
過失の発表まで2カ月もかかったことに加え、その責任を従業員のせいにしたことで批判が集中した。
「3月27日に改めて、害獣駆除の施行を実施したこと、従業員に衛生管理に関する教育を行ったこと、さらに、当該店舗は《大型冷蔵庫の扉が店外に面しており、その下部に設置されたゴム製パッキンに生じていたひび割れから》ネズミが侵入し、《みそ汁の具材を入れたお椀を大型冷蔵庫で一時保管していた間に混入した可能性が高い》と発表しました」(同・記者)
ところが、その翌日――。
「今度は都内の店舗からテイクアウトした商品に、ゴキブリが混入していたことが発覚したのです。そのため全国の店舗で、31日の午前9時より害虫・害獣の侵入対策などを実施することになったのです」
虫ならまだしもネズミとは……。すき家は《発生当初に当社がホームページ等での公表を控えたことにより、お客様に不信の念を抱かせる結果となってしまったこと》を謝罪している。消費経済アナリストの渡辺広明氏も驚く。
即公表すべきだった
「衛生対策のために全国1900店舗の休業とは、今まで聞いたことがありません。そもそも外食業界では、原因が店側なのか顧客側なのかは別として、髪の毛などの異物混入は決して珍しいことではありません。新鮮なサラダに虫が混入するという話もよく聞きますし、ゴキブリの発生をなくすことも難しい。問題発生時に原因をすぐに明確にすることは困難な場合もあります。すぐに認めて謝罪しろ、店を休んで対策しろというのは、原因が明確なケース以外は現実的ではありません。そんなことになったら、異物が入っていないことが大前提とはいえ、外食・小売業は成り立たなくなってしまう。ただし、今回のネズミの混入は論外です。問題の原因が判明したのであれば、2カ月も寝かしておく案件ではありません。そもそも、お客様に提供する際になぜ気づけなかったのか、疑問に思うほどの出来事です」(渡辺氏)
2014年、すき家では1人の従業員に全ての業務を任せる、いわゆる“ワンオペ”が社会問題になった。22年1月には、ワンオペ中の女性店員が倒れ、3時間後に発見されるも搬送先の病院で亡くなる事件もあった。今回のケースも、ネズミの混入に気づけなかったほど多忙だったのだろうか。
「外食やコンビニは、今はセルフレジなども導入され、当時に比べ負担は減っていると聞きます。もちろんワンオペで働くことは大変で、そうした運営は極力避けたほうがいいのですが、すき家に限らず外食やコンビニも、ワンオペに頼らざるを得ないほど人手不足です。ワンオペを問題視すると、日本の外食・小売業は、今のような価格や品質など最低限のサービスレベルが維持できなくなり、店舗数が激減する可能性が高いのです」(渡辺氏)
ではなぜ、すき家ばかりが目立つのだろう。
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