「オウム真理教」最大拠点を捜査員2500人が一斉捜索…警視庁が「オウム捜査」に乗り出す転機となった許されざる“拉致事件”とは
職務質問を受けた不審車両
――事件の前、2月19日の夜に遡る。
警視庁大崎署警備課の宿直員が、不審なワゴン車を発見した。目黒公証役場から300メートルほどの場所である。
「大崎署管内には皇室や成田空港などに関連した、重点的に警戒・警備を行う“重要防護対象(施設)”がいくつかあります。制服の地域警察官だけでなく、警備課も率先してパトロールを行っているのですが、この日は荷台に三脚を立てたビデオカメラをセットしている車をみかけ、職務質問したのです」(前出・捜査員)
免許証の提示を求めると、「なぜ必要なのか?」と押し問答になった。明らかにおかしい。もう一人の警察官が、車のナンバー照会をかけるが、該当車がないことがわかる。
「よくみると、ナンバープレートの『わ』に、白テープで細工して『つ』にしてあることが判明しました。ここでようやく観念した男は車からおりて、免許証を提示。ナンバー変造の理由を問うと、“明日、彼女とデートなのだが、レンタカーだと馬鹿にされそうなので…”とのこと。これだけでは逮捕する理由に当たらないので、とりあえず車種とナンバー、免許証から本人の名前と住所を控え、その場で返したのです」(同)
男の名前はM。後に指紋除去手術を受け、整形、女装などで逃亡。5月18日に逮捕されることになる。
【第2回は「警視庁を『上九一色村』大捜索に導いた『目黒公証役場事務長拉致事件』…オウム信者の関与を突き止めた『執念の捜査』全内幕」事件とオウムを結びつけた意外な事実とは?】
[3/3ページ]