急速に高まる「菅野智之」の評価 米サイトは「新人王の大穴」…受賞なら75年ぶりの快記録に
今季のメジャーリーグは、開幕シリーズが日本で行われることもあり、凱旋する大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希らに大きな注目が集っている。一方で、注目度ではドジャース勢に劣るものの、憧れのメジャーのマウンドで投げる日が刻一刻と近づいている投手がいる。それが昨季まで巨人で12シーズンを過ごし、通算136勝を挙げた菅野智之である。
【八木遊/スポーツライター】
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年俸約20億円でオリオールズと契約
これまで“巨人愛”を貫いてきた菅野が新天地に選んだのは、過去3度のワールドシリーズ制覇を経験している古豪ボルティモア・オリオールズだった。日本でもおなじみのニューヨーク・ヤンキースやボストン・レッドソックスといった強豪チームと同じア・リーグ東地区に所属している。
35歳という年齢も影響したのか、菅野がオリオールズと結んだのは1年契約。それでも、1300万ドル(約20億円)という日本ではまず考えられない破格の年俸を勝ち取った。巨人時代の2024年の年俸が4億円なので、その5年分。まさにアメリカンドリームをかなえたといってもいいだろう。
そして菅野はオープン戦で早速20億円の価値に見合う、いや、それ以上の投球を見せている。
ビザの取得に時間を要した関係で、2日遅れでキャンプに合流した菅野。しかし、その後は首脳陣やチームメートともすぐに打ち解け、キャンプ中から談笑する姿も目立っていた。
オープン戦の初登板は先月26日(日本時間27日)のパイレーツ戦だった。先発マウンドに上がった菅野は、2回を投げて無失点。打者8人を2安打、1四球に抑える上々の滑り出しを見せた。
2度目の登板は今月3日(同4日)のレッドソックス戦。この日は3回から2番手でマウンドに上がり、2回を2安打、1四球と初戦とほぼ同じ投球内容で、強打者が並ぶ打線を無失点に抑えた。ただ、2度目の登板は制球にやや苦しむなど課題も見え隠れした。
メジャー通算225勝右腕と対比する意見も
そして迎えた3度目のマウンドは9日(同10日)のツインズ戦。ここで菅野は完璧な投球を披露し、前回登板の不安を払拭してみせた。
この日は先発としてマウンドに上がると、立ち上がりから球威と制球力は抜群。3回まで46球を投げ、打者9人を相手に無安打、無四球、三振を5つ奪う圧巻のパフォーマンスを披露したのだ。
これには現地のメディアも「菅野が最高の投球を披露した」「日本人ルーキーが5奪三振の快投」「オープン戦3度目の登板で輝きを放った」など軒並み大絶賛の見出しをつけた。ローテーション入りはもちろん、エース級の活躍にも期待ができそうだ。
また、菅野の3度目の登板後、メジャーリーグ公認アナリストのロブ・フリードマン氏が自身のXに「Zack Greinke vs. Tomoyuki Sugano, Mechanics.」(ザック・グレインキー対菅野智之、メカニクス)と書き込み、2人の投球映像を並べた。
フリードマン氏がいうメカニクスとは、投球メカニクスのこと。投手がボールを投げる際の体の動きやフォーム、投げる際のテクニックのことを指すが、映像を比較すると、グリンキーと菅野のメカニクスが瓜二つであることがわかる。
フリードマン氏は菅野に対して、抜群の制球力と巧みな投球術を武器にメジャー通算225勝を挙げた右腕に通じるイメージを持ったのだろう。速球の威力なら菅野が勝るだけに、いきなりグリンキー級のパフォーマンスを見せてもおかしくなさそうだ。
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