急速に高まる「菅野智之」の評価 米サイトは「新人王の大穴」…受賞なら75年ぶりの快記録に

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佐々木朗希と「新人王ジャック」の可能性は?

 また、35歳の菅野をア・リーグの新人王候補に推す声も上がり始めている。Xでもオリオールズファンとみられる複数のアカウントがポストしているほか、「BetMGM」というオンラインカジノサイトのスポーツベッティングページでは、ア・リーグの新人王の“大穴”候補として菅野がリスト入りしている。

 同サイトは菅野の最新オッズを「+2500」(100ドルかけた場合、100+2500=2600ドルになる)に設定しており、これはア・リーグ11位タイという評価。ナ・リーグの大本命、佐々木朗希(ドジャース)の「+200」には劣るが、菅野にもチャンスが全くないわけではないだろう。

 仮にオープン戦7回零封の菅野がレギュラーシーズンでも好投を続け、新人王の栄誉に授かれば、メジャーリーグの最年長記録を更新することになる。

 これまでの最年長記録は、1950年にナ・リーグ新人王に輝いたサム・ジェスロー(ボストン・ブレーブス)で33歳。全盛期をニグロリーグで過ごした外野手で、ジャッキー・ロビンソンが人種の壁を打ち破った数年後にメジャーリーグに移籍し、オールドルーキーとしてタイトルを獲得した。

“大魔神”佐々木主浩氏は32歳で新人王を受賞

 35歳の菅野が並み居る若手の有望株たちに交じって新人王の栄誉を手にするのは容易なことではないだろう。昨季、15勝3敗の今永昇太(カブス)ですらナ・リーグ新人王投票で4位に終わったほどだ。若い選手と日本のプロ野球で実績を残した菅野が同等の成績なら若い選手に票が流れるのは当然だからだ。

 ちなみに、ジェスローの33歳に次ぐ史上2位の記録を持っているのは日本人選手である。2000年にシアトル・マリナーズで守護神を務め、37セーブを挙げた“大魔神”こと佐々木主浩氏で、32歳での受賞だった。

 巨人に入団以降、1年目から13勝を挙げ、球界のエースとして王道を歩んできた菅野。2021~23年は防御率3点台という野球人生最悪の“スランプ”を味わったが、昨季は15勝3敗、防御率1.67と見事なV字回復を遂げ、満を持して夢の大舞台に殴り込みをかける。

 オープン戦の投球を見る限り、35歳のオールドルーキーが75年ぶりの最年長記録を更新しても何ら不思議ではないだろう。

八木遊(やぎ・ゆう) スポーツライター
1976年生まれ。米国で大学院を修了後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLなどの業務に携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬記事を執筆中。

デイリー新潮編集部

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