「国民の99%が興味ない」と辛辣な声も “名誉市民”に選ばれた「シー・シェパード創設者」にフランス国民はあきれ顔

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 昨年7月、デンマーク当局が日本の調査捕鯨船への過激な妨害行為により逮捕した男に意外な栄誉が与えられた。2月3日、フランスのパリ市が環境保護団体シー・シェパードの元代表ポール・ワトソン(74)を「名誉市民」に遇したのだ。

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得るのは“名誉”のみ

 デンマーク政府は日本の身柄引き渡し要求に応じず、ワトソンは釈放されるや家族が暮らすフランスに帰還。アンヌ・イダルゴ市長は授与式で“鯨などの海洋生物を救うことは正義であり、称賛を集める闘いだ”と持ち上げてみせた。

 過去の被授与者は多岐にわたる。イランでヘジャブの着け方を理由に逮捕され、22歳で死去したマフサ・アミニ氏、イスラム武装組織ハマスの人質、最近ではロシアの侵攻を受けているウクライナの首都・キーウも対象とされた。

 金銭や住居の提供もなく、得るのは“名誉”のみというが、日本人からすれば納得のいかない話である。

釈放を求めて抗議集会

 名誉市民が与えられた背景には、鯨類の保護に熱心なフランスの国柄がある。1970年代に日本でも人気を博したフランス人海洋学者のジャック=イヴ・クストーは、いまも国民の敬愛の対象だ。ワトソンも女優のブリジット・バルドーと共に、生後間もないアザラシの保護運動に取り組んで名を上げた。

 昨夏にワトソンが拘束された際、パリ市内には彼の釈放を求める落書きが相次ぎ、抗議集会も行われた。ネットでは38万人の署名が集まったとされる。

 こうした動きに反応したのか、フランス大統領府は「デンマーク政府に日本への移送をしないよう働きかけている」旨の声明を発表。とはいえ、その一方で、違法行為を繰り返す過激派エコロジストに対しては、フランス国民の間に嫌悪感も広がっていた。

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