“トランプ関税”で日本の農産物が危ない! 「関税ゼロ%のはずの輸入品でも、蒸し返される可能性が」
投げ込まれた“関税爆弾”
自らを「タリフマン(関税男)」と称するトランプ米大統領が、さっそく“関税爆弾”を投げ込んできた。
【写真を見る】石破首相の交渉力が試される? “トランプ関税”で危ない日本の農産物とは
2月13日、トランプ氏が、「相互関税」の導入検討を指示する文書に署名した。貿易相手国が高い関税を課している場合、同じ水準に引き上げるというものである。日本も含め例外はないという。次いで18日には自動車の輸入関税の引き上げも検討していることが明らかに。こちらの関税率は25%前後である。ちなみに現状でアメリカは輸入乗用車に対して2.5%、トラックには25%もの関税をかけている。一方の日本側は輸入自動車の関税がすべてゼロ%なのに、だ。
その代わりにというべきか、日本が輸入する畜産・農産品には広く関税がかけられている。食料自給率を守るという建前だが、実質的には歴代政権が票田確保のために生産者を保護してきたといってよい。
代表的なものがコメで、1キロあたり402円の関税がかけられているのはよく知られている。他にも牛肉に22.5%、また豚肉、小麦、ピーナッツなどなど。トマトケチャップには25%の関税がかかっている。
「変わったものでいえばサラブレッドなどの競走馬は1頭あたり400万円の関税がかけられています。欧米から血統の良い馬が入って来て国産馬が駆逐されるのを防ぐためですが、食料自給率とは関係がありません。競走馬牧場の票田を確保するためでしょう」(農水省担当の記者)
ターゲットは非関税障壁にも
注目するべきは、今回のターゲットが、非関税障壁にも及ぶ可能性があることだ。農業ジャーナリストの浅川芳裕氏が言う。
「トランプ氏が、なぜ関税に積極的になったのか、その発言を若い頃までさかのぼって調べてみたことがあります。すると、経済学者のアダム・スミスが書いた『道徳感情論』に行き着くことが分かる。そこには“取引というものは公正であることが大前提”という趣旨が述べられています。そうなると、関税ゼロ%のはずの輸入品でも蒸し返される可能性があります」
例えばジャガイモはその典型だ。日本側はジャガイモ特有の害虫の侵入を防ぐという理由で、輸入を厳しく制限しているのだが、米側はこれに非科学的と長年反発してきたからだ。
とまれ、石破政権の交渉力が試されるところだが、
「ディール好きのトランプ氏のことですから、最後は“農産物を守りたいのなら、どれだけアメリカに投資できるのか”という要求に落ち着くでしょう」(同)
今回はいくらの「請求書」が回ってくるのだろうか。




