「高市・野田」の「対石破発言」があまり相手にされない理由
高市氏の発言の真意
一方、自民党内にも「焦りを抱えて発言をしたのでは」と見られる人がいた。
高市早苗前経済安全保障担当相は21日までに自身のXを更新し、「年収の壁」を巡る自民党案について言及した。
高市氏のポストは以下の通り。
「いわゆる『年収103万円の壁』を巡る自民党・公明党・国民民主党の3党協議に関する報道を見て、私だけではなく他の自民党所属国会議員達も落胆し、怒っています」
「私が知る限り3党協議前に平場(自民党の所属国会議員なら誰でも参加できる場)は開催されておらず、自民党の提案とされる内容は、税制調査会のインナーと呼ばれる幹部数名で決めたのでしょうか。私も含めて報道で初めて知ったと憤る議員が多数です」
「2021年の自民党総裁選では、岸田前総裁も私も、『分厚い中間層の再構築』を訴えていました。総裁選後の人事で宮沢議員の税制調査会長就任を強く推してこられた岸田前総裁の現在のご意見もチャンスがあれば伺ってみたく存じますが、自民党所属国会議員の多数意見とは思えない自民党の提案。税制調査会インナーの皆様には、今一度、熟考して頂きたく存じます」
一連の投稿は、高市氏の支持者には歓迎されているものの、党内の目は厳しいのだという。
党内では鼻白む空気が
「高市氏が今回の議論の流れを理解していないはずはなく、自民党内の不満分子のガス抜きか自身のアピールか、その両方を企図しての発言ではないかと見られています。石破氏と争って敗れた総裁選の時に103万円の壁をなくすと公約で訴えていたわけではありません。たしかに岸田氏と争った2021年の総裁選では中間層の再構築といったことに触れていますが、当時も“壁”について政策転換などを提言していたのではありません。当時は低所得者をメインとした給付付き税額控除を提唱していたはず。いずれにしても自己アピールの要素が強く、党内では鼻白む空気が強いですね。先の総裁選で石破氏と決選投票を争った高市氏は党内基盤が弱く、何か発言しても賛同するよりアンチの声の方が大きい。今回も“気に入らないなら自民党を出ていけ”といった厳しい言葉が党内から聞こえてきます。財務省や出身議員の声が強い“税制調査会インナー”を敵視したことはタイミングをとらえたアイディアだったのかもしれませんが、功を奏しているとまでは言えない印象です」(同)
現在の国会情勢などを踏まえれば、今夏の参院選で自公が過半数割れしてもただちに政権交代となることはなさそうだ。
「少数与党のまま石破氏が続投する可能性もあり、自公が距離を縮める相手は維新であり国民民主であり、立憲ではない。そういったことも想定しつつ野田氏や高市氏は発言をしているのでしょう」(同)
財務省へのスタンスはかなり異なるが、野田氏、高市氏、2人の松下政経塾出身者とも壁に突き当たっているという状況か。
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