「最下位予想」を覆して日本一になった球団も…「オープン戦最下位」からリーグ優勝を達成した“下剋上チーム列伝”

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野球は蓋を開けるまでわからない

 2001年の近鉄同様、2年連続最下位からリーグ優勝を成し遂げたばかりでなく、日本一の座に就いたのが、2021年のヤクルトである。

 2019年に先発投手陣の崩壊で最下位になったヤクルトは、高津臣吾監督が就任した翌20年もウイークポイントの投手力を克服できず、優勝した巨人に25ゲーム差の最下位に沈んだ。そして、2021年のオープン戦も3勝9敗1分で12位に終わる。

 開幕前の下馬評では当然のように「今季も苦戦」の予想が多く、ある程度の失点は覚悟のうえで、いかに打線がカバーできるかが上位進出のカギを握っているとみられていた。不動の4番・村上宗隆のあとを打つ5番がキーマンとされた。

 ところが、シーズンが開幕すると、奥川恭伸がエース・小川泰弘と並ぶチーム最多の9勝を記録するなど、若手の成長で長年の課題だった先発陣の整備に成功。清水昇、マクガフらのリリーフ陣も健闘し、チーム防御率もリーグ3位の3.48と良化するのだから、本当に野球は蓋を開けるまでわからない。

 打線も新助っ人のオスナとサンタナが、村上のあとの5番を務め、投打ともに大きく戦力アップ。前年のリーグ最下位チーム同士の対決となった日本シリーズでオリックスを下し、チームを20年ぶり日本一に導いた高津監督は「昨年、一昨年と最下位に沈んで本当に苦しいシーズンだっただけに、喜びは何倍も大きい」と感激しきりだった。

 ヤクルトは翌22年のオープン戦も4勝11敗2分で、巨人と同率11位の最下位ながら、前年の日本一の実績もあって、評価は下がることなく、2年連続オープン戦最下位からリーグV2を達成している。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

デイリー新潮編集部

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