4月から教習所は「オートマ限定免許」が基本に…“冷遇”されるマニュアル車に「高齢者こそ乗るべき」と専門家が語る納得の理由

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事実は「マニュアル免許の値上げ」

 マニュアル免許の教習では、そもそも車を動かせるようになるまでが一苦労だ。エンストに泣かされた人は多いだろう。

「マニュアル車は運転できるようになるまで時間が必要です。ところが今の教習所は高齢者講習の盛況で余裕がありません。さらに現在のマニュアル車はスポーツタイプの車などが目立ち、初心者向きの車を購入しずらい状況です。一方、オートマ車はクラッチがなく、ブレーキを離せばクリープ現象で前に進みます。マニュアル免許に比べると講習の期間は短く、オートマ車なら初心者に適した教習車の購入も楽です」(同・国沢さん)

 国沢さんは今回のカリキュラム改定を「実態としてはマニュアル免許の取得費値上げ、と考えるべきでしょう」と指摘する。

「運転免許には国家資格という側面があります。『どうせ免許を取るなら“限定”ではなく、マニュアル車もオートマ車も両方運転できるほうがいい』と考える人が一定数、存在するのは当然でしょう。実際、マニュアル免許を取得したいと考えている人は現在でも30%はいると言われていました。10%を切るのなら、カリキュラムの変更も分かります。しかし『高齢者教習で大混雑』という教習所の都合だけで30%のマニュアル免許希望者に値上げを強いるわけです。これはやはり問題だと言わざるを得ません」

高齢者こそマニュアル車

 しかも国沢さんは以前から「高齢者こそマニュアル車を運転すべきだ」と訴えてきた。

「クラッチやギアの操作などを要求するマニュアル車は運転するのに複雑な動作が必要で、ボケ防止が期待できると私は指摘してきました。さらにマニュアル車は青信号で発進する際もクラッチによるギアチェンジが必要ですから急発進は抑制されます。同じ理由からブレーキとアクセルを踏み間違えても暴走する可能性は低いわけです。またマニュアル車は新車だと選択肢が狭まりますが、中古に目を転じると、まだまだ様々なタイプの車が売られています。今回のカリキュラム変更はマニュアル車のメリットを完全に無視したものであり、非常に残念な決定だと考えています」

デイリー新潮編集部

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