「厚底」「プリ帳」「ルーズソックス」が大流行…TikTok全盛時代にJKとJDが「平成レトロ」に惹かれる理由
厳しい評価も目立つNHK朝ドラ「おむすび」ではあるが、平成ギャル文化がクローズアップされ、改めて若い女性がトレンドを生み出してきたことがよくわかる。流行が激しく移り変わる現代で企業も彼女たちの動向には関心を持っているはずなのに、その姿勢が不十分だと指摘するのはマーケティングアナリストで芝浦工業大学教授の原田曜平氏である。
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JKとJDの影響力が増している
TikTokなどショート動画が全盛の時代となりつつある。
昨年末、サイバーエージェント次世代研究所が発表した「Z世代ヒットトレンドランキング2024」では1位から30位のうち、TOP5を含めた約半数がTikTokからの流行だった。
では今年、2025年のトレンドはどうなるのか。
マーケティングアナリストで芝浦工業大学教授の原田曜平氏は女子高生(JK)と女子大生(JD)の動向に注目しているという。
原田氏が語る。
「1990年代には安室奈美恵さんのファッションを真似したアムラーが社会現象となり、ガングロ、ルーズソックス、厚底などのファッションが注目を浴びるJKブームが起こりました。その前には川島直美さんら女子大生が深夜のバラエティ番組に出演し、JDブームに火が付いた。それから四半世紀以上が経ち、この間、JDやJKにさほど注目が集まらず、消費トレンドという意味でもあまりフィーチャーされていませんでした。しかし、近年、JKとJDの影響力が増していると感じています」
同じくサイバーエージェント次世代研究所は昨年末に「JK&JDヒットトレンドランキング2024」を発表している。
そのトップ5は下記のような形になっている。
1位「Bling-Bang-Bang-Born(TVアニメ「マッシュル-MASHLE-」第2期OP主題歌)
2位「猫ミーム」(猫のインターネットミームを素材としたネタ動画)
3位「わたしの一番かわいいところ」(「ねぇねぇねぇ」という歌詞で話題)
4位「焼きポン・デ・リング」(ポン・デ・リングを焼いてアレンジしたもの)
5位「はいよろこんで」(「ギリギリダンス」で有名になった曲)
素人の投稿でもバズる
1位から30位のうち、TikTok発信の流行はZ世代のランキングを上回る18にも及ぶ。
「Z世代全体よりJK・JDで顕著ですが、多くのトレンドがTikTok発信になったことが、昨年一年間の大きなホットトピックです。それまではYouTubeからの流行とTikTokからの流行が半々だったのが、今年はTikTok発信の流行がメインになりました。すでにYouTubeは若者メディアではなくなってしまった。若者はTikTokに移行し、中高年がYouTubeを見るようになったんです」
TikTokの特徴は利用率が全体に比して若い世代の割合が高い点にある。26歳から59歳までの世代では利用率は3割に満たないものの、Z世代に限定するとその利用率は54.8%にもなる(サイバーエージェント次世代生活研究所調べ)。
「圧倒的に若者メディアなんですよね。かつてのトレンドはテレビや芸能人、雑誌、深夜のバラエティ番組など大人たちが作ったコンテンツに若者が乗っていた構造でした。今のトレンドはTikTok発となり、様変わりしました」
その理由として拡散力の強さがある。
「TikTokerには芸能人もいれば素人女子高生もいます。それがバズって拡散される。Xには拡散機能はあるものの、炎上のような悪い意味での拡散が多い。逆にTikTokは“おもしろい”って拡散されることの方が多いですよね。素人の投稿でもバズることが多くて、普通の大学生や高校生が流行の言葉を紡ぎ出してる。これはひと昔前にはなかったことだと言えるでしょう」
先のランキングから「JK&JDの間でヒットした有名人部門」を見ると、1位は、テレビ番組「世界の果てまでイッテQ!」で「お祭り男」として復活した手越祐也さん。TOP10のうち8人がテレビで活躍するタレントらだった。若者もいまだに「オールドメディア」たるテレビを視聴しているのだろうか。
「テレビで活躍している人が多くランクインしている理由は2つあります。1つは、テレビコンテンツがTikTokで回ること。若者受けするバラエティやドラマはTikTok上で意外と見られています。もう1つは、手越祐也さんに関しては、今のJK・JDが小さい時に見ていたスターだったことですよね。『世界の果てまでイッテQ!』は日本で一番視聴率の高いテレビ番組でした。そういう要因が大きかったのでは」
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