「文書の余計な一言が傷口を広げました」…電撃引退「中居正広」の“致命的な失敗”を危機管理の専門家が指摘する

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まず刑事告訴を勧めるべき

「『中居氏を守ろうという意識はない』とか『被害女性が公にならないことや心身のケアを最優先した』とも語っていましたが、これは全く意味のない発言です。仮に被害者が情報の開示や中居さんの降板等を求めていないということであれば、そう話すこともできるでしょう。そうでないなら、フジテレビにとって都合のいい言葉でしかありません。心身のケアと言われても、人によって異なるものですからね。私はこういった事案にも関わってきましたがが、今の被害者は昔の人と違って、刑事告訴をして刑事罰を与えたいと考る人も少なくありません」(田中氏)

 今や泣き寝入りという時代ではないのだ。

「今回のようなトラブルを把握した会社の対応としては、被害者にはまず『刑事告訴をしませんか?』と勧めるべきなのです。それが一番、再発防止に繋がりますから。もちろん刑事告訴をすれば取り調べで二次被害の可能性もありますから、『それらに対して最大限の支援をします。心療内科の医師や強い弁護士などもサポートにつけますから刑事告訴をしませんか?』と、ここから入るべきなのです。刑事告訴が嫌という場合は『民事裁判に訴えるという方法もあります』と。民事でも裁判の過程で二次被害の可能性があります。それも望みませんということであれば、『内密に示談を行われますか?』という順番になるべきなのです。それと同時に『あなたの痛みが癒えるまで、できる限りの支援をさせていただきます』とするのが今の会社の責任です」(田中氏)

 フジの港浩一社長は被害者に対して「ご活躍を祈ります」と語っていたが……。

北米トヨタ訴訟で企業意識が変わった

「他人事みたいなことを言っているからいけないのです。それが多くの企業の反発を買った。フジテレビの言っていることが理解できないし、承服もできない。今の企業はそんなレベルの仕事をしていません。ですから多くの企業がスポンサーを降りたのです」(田中氏)

 企業イメージのためだけではなかったのか。

「2006年に起こった北米トヨタのセクハラ訴訟事件を覚えていますか。社長にセクハラを受けた女性が、上司に訴えたにもかかわらずちゃんと対応してくれなかったことから、総額1億9000万ドル(約215億円)の損害賠償を求める訴訟を起こしました。最終的には和解となりましたが、この裁判では会社がやるべきことをやらなかった不作為が厳しく問われました。この事案から企業の対応はガラッと変わったのです。北米の現地法人のみならずアメリカと取引する日本の企業も、不作為をなくすことを重要視して対応するようになったのです」(田中氏)

 フジは変われなかったということか。

「なぜクライアントが離れていったのかわかっていないのかもしれません。スポンサー企業のコンプライアンス意識とかけ離れているのです。そういう対応をしてしまったので、中居さんのイメージも地に落ちた。中居さんもフジテレビも、弱い立場の人の気持ちを理解する“共感力”に乏しいと言わざるを得ません。被害者に寄り添うには“共感力”が最も重要なのです。それが乏しいことで危機管理に失敗したのです」(田中氏)

デイリー新潮編集部

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