受験シーズンに過去最悪レベルの「インフルエンザ」が猛威…今後は「受験生に流行」の可能性大も、医師が「治療薬がなくとも絶望的な状況ではありません」と説く理由

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学校を休む受験生

 特集では製薬会社による治療薬の出荷調整が相次いでいるとし、取材に応じた都内の医師は「病院では、タミフルの粉薬を必要とする小児患者に薬を処方したくても、院内に在庫がない。近隣の薬局にも、ほぼ在庫がない。危機的な状況」と苦境を訴えた。

「番組では専門家が『幼稚園・保育園児と40代の感染が突出している』と指摘しました。受験生や親は10代から20代に感染が拡大しないか不安でしょう。さらにワクチンも、治療薬の在庫がないというのですから、『もし感染したら受験は一巻の終わり』です。言うまでもなく受験は人生の一大事であり、インフルで棒に振るわけにはいきません。受験生も親も神経質になるのは当然だと思います」(同・記者)

 デイリー新潮は1月10日、「中学受験する6年生のために下級生の妹や弟も学校を欠席…『文京』、『港』、『中央』、『渋谷』、『千代田』の5区では進学率が『40%』を超える事態に」との記事を配信。インフルの罹患を防ごうと、小学校を“自主休校”する6年生が多いことを伝えた。

 記事では、小学校6年生の長男がいる渋谷区に住む40代の会社員を取材。いよいよ1月から長男は中学受験に挑戦するという。会社員は「受験対策のせいで、小学校低学年の頃から学校を休みがちになる児童がいるのを知った時には驚きました」と振り返る。会社員のコメントを引用する。

受験生をインフルが

《「小6の3学期となると、受験率を反映してクラスの半分の児童が学校を長期欠席することも珍しくありません。それどころか、受験を控えた小6児童の感染症対策のため、同じ小学校に通う小学5年生以下の弟や妹まで欠席させてしまうケースがあるのです。これはいくら何でもやり過ぎでしょう。小学校の授業と私立中学の受験問題は内容が全く異なるので、出席して授業を受けても直接的な受験対策にならないのは事実です。保護者や児童としては、高校3年生の3学期が自由登校になるのと同じ感覚なのでしょうが、高校3年生の3学期は全てのカリキュラムが終わっています。一方の小学校は義務教育ですから、中学受験のために小学校を休ませる保護者は、我が子の『教育を受ける権利』を放棄させていると言えます」》

 テレビ東京「主治医が見つかる診療所」に長年レギュラー出演し、『医者とのつきあい方大全 医者のトリセツ』(春陽堂書店)など多数の著書で知られる秋津壽男医師は「今後、受験生の世代にもインフルが流行する可能性は高いと言わざるを得ません」と言う。

「そもそもインフルの流行は、まず幼稚園児と保育園児、そして親世代が多い40代に最初の流行が認められ、次第に他の世代に拡散していくというのが基本的なパターンなのです。そのため今後、10代や20代の学生、30代や50代の社会人もインフルに罹患することが増えるでしょう。マスコミが警鐘を鳴らすように、感染拡大に注意が必要な局面であることは事実です」

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