新庄監督(52)建山コーチのロッテ移籍に「大歓迎ですよ」のウラ事情 “名将”と手法逆行で「独裁」の危惧

スポーツ 野球

  • ブックマーク

建山コーチは日本ハム唯一の退団者

 その意図については「(武田コーチに)僕の考えを(共有するために)隣にいさせて……。次は(もう1人の投手コーチである)加藤(武治)君に隣にいてもらって……。どんどん、どんどん僕のやりたい野球を伝える」と説明した。

 建山コーチはこの時、「監督の中で思うことがあっての配置転換なので……。僕はブルペンでしっかり選手を送り出す方の立場で、ということで」と多くを語らなかった。

「チームの不振時に投手コーチのベンチ担当とブルペン担当を入れ替えることはよくあります。監督とベンチ担当の投手コーチのソリが合わないことが理由であることも少なくありません。新庄監督が他のコーチと野球観を共有することが目的と言っても、言葉通りには受け止めることは難しかったですね」(前出の元監督)

 シーズンが終了すると建山コーチは「契約満了に伴い」との球団発表で、今季のコーチ陣では唯一の退団に至った。そして、ほどなくロッテの投手コーチに横滑りしたのだった。

“落合中日”が成功例

「同一リーグ間の移籍なので(移籍先のチームが)役職で配慮してもいいはずです。建山コーチの場合は日本ハムと同職で、2軍ではなく1軍にしたことが円満退団ではなかったことを物語っています。ロッテは今季の順位で上にいかれた日本ハム戦では建山コーチ(が持つ日本ハム)の情報を利用し、建山コーチも全面協力することでしょう」(同元監督)

 新庄監督に限らず、野手出身の監督が専門外である投手部門のチーフ格のコーチと強固な信頼関係を築くことは簡単ではない。球界では「永遠のテーマ」とも言われる。全権を握り、勝敗の責任を一身に背負う監督に対し、投手コーチは選手の将来のことまで考え、酷使を避ける起用を志向するなど、利益相反関係に陥ることがままあるからだ。

 対立が起きないとすれば、投手コーチが監督のイエスマンになるか、監督が投手コーチに全てを委ねるかのどちらかだろう。後者の典型例は落合博満監督時代の中日だ。落合監督の下で投手コーチを務めた森繁和氏(後に監督)は先発ローテーションの選定や継投を含め、投手陣の全てを取り仕切った。落合監督が投手起用を決めたのは故障で3年間、1軍登板がなかった川崎憲次郎投手をサプライズ先発させた就任1年目の2004年の開幕戦、ただ一度だけだった。

次ページ:来季の投手コーチは意見できない

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。