「103万円の壁」引き上げで手取りはどれだけ増える? 所得税20%の人は「無条件で15万円アップ」
引き上げ幅はどうなる?
第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏はこう語る。
「もし非課税枠が178万円まで拡大されたら、約7.6兆円の税収減になる。つまりわれわれの家計に7.6兆円の恩恵がもたらされるということです。ただ、さすがに178万円満額で折り合うことはなく、どこかで妥協することになるのではないでしょうか」
玉木代表は95年からの最低賃金の上昇率を元に178万円という数字をはじき出しているが、
「これには賛否両論あると思います。例えば政府が主張しているのは、最低賃金ではなく消費者物価を尺度にする方法。それなら約1.1倍ですので、非課税枠は120万円弱になります。しかし、生活必需品の物価を見るのが適当ではないかとの見方もあります。例えば食費や光熱費、家賃など基礎的支出の上昇率で計算すると、当研究所の試算によれば128万円になります」(同)
さらに食料品のみの価格上昇幅を参考にすると、
「当研究所の試算では140万円となります。将来的なさらなる引き上げも含んだ第一歩として、引き上げ幅は128万~140万円くらいになるのではないでしょうか。国民民主党もそのあたりは分かった上で、あえてインパクトのある金額を出すために最低賃金を基準にしたのでしょう」(同)
“働き控え”解消の効果
多くの専門家が「妥当」と評価する基礎控除の引き上げ。一方、この政策には、“働き控え”の解消という効果もある、とされている。
年収が103万円を超えると、超過分に対して所得税がかかるなどする。そのため、「年収103万円の壁」と呼ばれ、パートタイム労働者などがそれ以下に抑えて働くケースが出てくる。これが“働き控え”問題だ。
「働き控え問題の当事者になるのはパートの主婦や学生アルバイトなので、これは基礎控除引き上げという減税の『おまけ』のようなものだといえるでしょう」(先の橘氏)
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