「103万円の壁」引き上げで手取りはどれだけ増える? 所得税20%の人は「無条件で15万円アップ」
「政策の本質は大規模減税」
作家の橘玲氏が言う。
「〈『103万円の壁』の引き上げ〉の内実を見ると、基礎控除の引き上げであることが分かります。基礎控除を大幅に引き上げれば、当然その分だけ納税額が減ります。これは所得税を支払っているほぼ全員が受益者になる話。この政策の本質は大規模減税に他ならないのです」
所得税の非課税枠は基礎控除48万円と給与所得控除55万円の計103万円。控除とは“差し引く”との意味だ。この非課税枠のうち、基礎控除48万円の枠を123万円まで拡大し、非課税枠を計178万円とせよ、というのが玉木代表の主張である。
「基礎控除は本来、生活に必要な最低限の収入には課税しないという制度。それが年48万円、月にして4万円というのはどう考えても少なすぎます。給与所得控除というのは、サラリーマンにとって、スーツ代や通信費など会社に請求できない経費がどれくらいかかっているかをざっくり計算したもの。それについても控除することになっています」(同)
手取りはどれだけ増える?
所得税には5%から45%の累進課税が採用されており、所得が多くなればなるほど税率が高くなる。
「多くの人は所得の10%か20%を所得税として支払っています。仮に基礎控除が48万円から123万円に75万円分引き上げられると、税率10%の人は7万5000円、20%の人は15万円、無条件で手取りが増えます」(橘氏)
ただし、年収2500万円超の場合はそもそも基礎控除の枠が存在しないため、「玉木減税」の対象から外れる可能性がある。
「基礎控除の引き上げのみを、所得税を納めている現役世代の立場から見ると、メリットしかありません。実態に合わせて基礎控除を見直すことには整合性があり、共感を呼びやすいと思います」(同)
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