「言葉は悪いが、俳優業は嘘をつく仕事」…石橋凌は“まったく違う”2つの仕事をいかに両立させているのか

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自分を見せる仕事と嘘をつく仕事

「言葉は悪いけど、俳優業は嘘をつく仕事。片やミュージシャンは本当のことを言っていく仕事。全く違いますよね」

 俳優業が軌道に乗った後、98年にARBを復活させ、脱退する2006年まで続けた。バンドを復活させた後の2002年にはソロデビューも果たし、音楽と俳優業を並行してきた。

「バンド時代はいいこともたくさんあったが、嫌なことも経験したし、自分の嫌な部分も出さなければいけない。それもあって卒業したかったというのもある」とソロへの転身を説明する。原点こそ「バンドをやりたい」だったが、今は音楽をやりたいという、より純な気持ちに突き動かされて活動を続けている。

 ただ、俳優業との両立は傍から見ているほど楽ではないという。

「俳優業は、恐山のイタコと同じで、自分ではない人間を降霊させる作業。特に自分は悪党の役も多いので、そういう役を身体から抜けさせてから、音楽へ行くなど、数日間でもいいから切り替える期間を設けている」と明かす。

 かつて、ショーン・ペン監督の「クロッシング・ガード」でゲイの役を演じたこともあるが、その役を抜けさせるのに苦労した経験もあるという。

 そうした切り替えに奏功しているのがサウナ。サ道は50年以上といい、新陳代謝を図るとともに、役の男を排出して、初めて“整う”のだという。

 現在、進行中のツアーでは、最新アルバム「オーライラ」からの曲も多く歌う。「Dr.TETSU」はアフガニスタンやパキスタンで医療活動に従事し、アフガンの銃撃事件で死去した中村哲医師を歌った歌。2017年のアルバム「may Burn!」収録で、戦争や核兵器反対をストレートに歌った「ピカドンの詩」など、大事に歌い続ける曲も多い。

「アマチュア時代を含め、50年以上歌ってきて、最新のアルバムは自分の音楽人生の中でも最高傑作といえる」と胸を張り、進行中のライブを「ぜひ見に来てほしいね」と訴える。

 俳優業で海外へ進出したことと同様に、「チャンスがあれば将来的には海外で歌ってみたい」となお意気盛ん。今回のライブは、そんな石橋の姿を生で感じるチャンスと言えそうだ。

デイリー新潮編集部

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