オレンジジュースは900ml、1本500円超の時代へ…業界団体が「当分、異常な高騰は続く」という根拠

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 ついにオレンジジュースが飲めない時代になった──。振り返ってみると、最初は値上げや期間限定の販売停止だった。例えばキリンビバレッジは昨年5月、「トロピカーナ 100% まるごと果実感 オレンジ(900ミリリットル)」の販売を6月1日から7月31日まで休止すると発表した。

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 ところが今や、無期限の販売休止が相次いでいる。雪印メグミルクは「Dole オレンジ 100%」の450ミリリットルと1000ミリリットルの販売を昨年4月から休止している。

 アサヒ飲料も「バヤリース オレンジ(1・5リットルペットボトル)」の販売を昨年12月出荷分から販売休止。そして森永乳業も4月25日、「サンキスト 100%オレンジ(200ミリリットル)」について「果汁の原料がなくなり次第」、販売を休止すると発表した。

 3社とも販売再開の見通しは立っていないという。そしてキリンビバレッジを加えた全社が理由として挙げたのが、オレンジ果汁の調達困難だ。日本企業だけの話ではなく、世界中の関係者が確保に奔走しており、価格が異常なレベルに高騰している。

 なぜオレンジ果汁が確保できないのか。それは主要生産国であるブラジルで天候不良と病害で不作が続いているためだ。そのため現在売られているオレンジジュースでも、販売価格の高騰が続いている。都内に住む男性会社員が言う。

「私もオレンジジュースが大好きで、スジャータめいらくグループの『のむ果実 オレンジ』の900ミリリットルをいつも買っています。自宅は新宿区で、先日は近くのスーパーに出かけ、陳列されているオレンジジュースを手に取ろうとすると、価格が450円だったのです。値上げが続いているのは知っていたとはいえ、ここまで高くなってしまったのかと驚きました」

カンキツグリーニング病

 スジャータめいらくグループは昨年9月にプレスリリースを配信。「昨今の原材料費の高騰は企業努力の範疇を超える」などと説明し、各商品の値上げを発表した。「のむ果実 オレンジ」の900ミリリットルは367円と書かれており、今年になって300円台から400円台に上がったことが分かる。

 ところがネット通販などで「のむ果実 オレンジ」の900ミリリットルを検索してみると、現在は6本セットで3300円を超えている。1本あたりの値段は約550円。依然として値上がりが続いているわけだ。

 財務省の貿易統計によると、3月の輸入オレンジ果汁の価格は1リットル620円。こうなると1本500円どころか、600円、700円と値段が上がっても不思議ではない。

 公益財団法人中央果実協会は23年4月18日、「世界のオレンジ果汁は供給逼迫を背景に高値が続く」とのレポートを発表した。オレンジジュースの価格は今後どうなるのか、情報部に取材を依頼した。

「情報部では果実に関する海外の報道をチェックしています。昨年の4月、オランダの情報会社『ラボバンク』がオレンジ果汁の生産量が減少して在庫が切迫、記録的な高値が続く可能性があると報じました。最大の輸出国であるブラジルで、極度の高温とカンキツグリーニング病の流行でオレンジの収穫量が減少を続けています。2020年、21年、22年と連続して不作が続き、果汁の在庫もどんどん減っていったのです」

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