福田淳社長の穏健路線で業界に異変…スタート社とTOBEは熾烈な競争を繰り広げるか? カギを握る平野紫耀
スタート社の穏健路線
実際、両曲はヒットチャートでトップを争った。3月27日付のBillboard JAPANのダウンロード・ソング・チャートではTravis Japanが1位で、to HEROes Project -Act for HOPE-は2位。
「旧ジャニーズ事務所なら、ほかの芸能事務所が意図的にリリース日を合わせてきたら、不快感を示すアクションを起こしたでしょうが、スタート社は動かなかった」(同・別の芸能事務所幹部)
共演NGを止めた福田氏らしい。スタート社は良くも悪くも普通の芸能事務所になろうとしている。ただし、それが功を奏するか、裏目に出るかは分からない。
「スタート社の穏健路線はTOBEやほかの芸能事務所にとって好都合。TOBEは今後もスタート社のリリース日を気兼ねなく利用するだろうし、旧ジャニーズ事務所の稼ぎ場所にも踏み込みやすい」(前出の芸能事務所幹部)
たしかに、昨年8月末で旧ジャニーズ事務所を退所した元Kis-My-Ft2の北山宏光(38)は、テレビ東京の「ドラマ24 君が獣になる前に」(金曜深夜0時27分)に主演している。かつて深夜ドラマは旧ジャニーズ事務所勢の金城湯池だった。北山の活躍は過去の退所組である稲垣吾郎(50)ら「新しい地図」の3人や山下智久(39)、錦戸亮(39)の長い不遇とは雲泥の差だ。
「民放の中ではテレ東が一番、スタート社と距離を置いていることもあるが、TOBEの売り込みも実を結んでいる。一方でスタート社は妨害めいたことをしていない」(前出・大手芸能事務所幹部)
滝沢氏が旧ジャニーズの副社長時代、渉外担当として各局トップと親交を深めていたことも大きい。単なる新興芸能事務所扱いを受けていない。
マクドナルド側にも事情がある
Number_iの3人は23日から日本マクドナルドのCMに登場する。これにスタート社の一部ファンが抗議し、同社製品の不買を呼び掛ける声がSNSにある。
マクドナルドは故・ジャニー喜多川氏による性加害が社会問題化した昨年9月以降、木村拓哉(51)ら旧ジャニーズ事務所勢と決別した。同事務所がスタート社に移行しても姿勢を変えていない。タレントに罪があるわけではないから、ファンとしては黙っていられないだろう。
一方でマクドナルドは人権に敏感なグローバル企業である上、ファミリーを相手にするから、旧ジャニーズ事務所の後継組織であるスタート社と取引を再開するのは難しい。スマイルアップ社への性加害の申告は3月末の時点で973人から受けたが、補償について合意に達したのは356人に留まっている。
幅広い世代を相手にするマクドナルドとしては、堺雅人(50)や宮崎あおい(38)らミドル層のタレントばかりCMに使うわけにはいかない。結果的にTOBEにとって追い風となった。
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