実は“女性客”が急増中…「紳士服チェーン」復活の意外すぎる理由 若者世代の「オーダースーツ」人気も後押し

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“趣味的”ではなく、“実用的”で“経済的”

――スーツだけならともかく、“オーダースーツ”が人気というのには驚きました。

「それこそ“背広を誂える”なんて表現は、長いこと“死語”同然だったと思うんです。ところが、ここ最近、パターンオーダーやセミオーダーを含め“オーダースーツが好調”という声をよく耳にするようになりました。『洋服の青山』を展開する青山商事は、自社のオーダースーツブランド“Quality Order SHITATE”を全店舗に導入。コナカもオーダー専門店“DIFFERENCE”の新規出店が続いています。背景にあるのはオーダースーツの“低価格化”です」

――有名百貨店や個人経営のテーラーだと、最低予算が10万円というイメージですね。

「それがいまや、高級な生地を選ばなければ3万~5万円から作れるようになっています。その価格帯であれば若いビジネスマンでも手が届く。また、既製のスーツ、いわゆる“吊るしのスーツ”を買ったとしても、裾上げやウエスト調整、ジャケットの袖詰めなど“お直し”は必要になりますよね。追加料金を考えたら、最初からオーダースーツを作った方が安上がりだし、型崩れもしません。つまり、オーダースーツが好調と言っても、かつてとはイメージが異なります。若い世代は細部に凝ったスーツを“趣味的”にオーダーするというより、“実用的”かつ“経済的”な意味でオーダースーツを選んでいるようです。成人式や入社式、あるいは初めてのボーナスを手にした時などに、若者がオーダースーツを作る流れは、今後も加速していくと思います」

――他にも“スーツ需要”復活の理由はありますか。

「そうですね、新たな潮流としては機能性の向上が挙げられます。なかでも、いま脚光を浴びているのは伸縮性に優れたストレッチ素材のスーツでしょう。たとえばAOKIホールディングスの“パジャマスーツ”は<見た目スーツ、着心地パジャマ>と、ストレッチ素材の快適さを売りにしています。こうした機能性の向上は、若い世代のスーツに対する抵抗感を減らすのに役立っていると感じます。また、中高年層にとっても、たとえば腹回りが大きくなった時にストレッチ素材はかなり楽です(笑)。膝やお尻が突っ張らないのも好印象ですね。加えて、いま紳士服チェーンが力を入れているのは“女性向け商品”の開発です」

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