「仕事にやりがいを感じる」は5%で145カ国中最下位! なぜ日本の会社員はやる気を失ったのか

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 新年度が始まった。心機一転、これまでのあれやこれやを忘れて仕事にまい進――と、割り切れないのはなぜだろうか。答えは明白。「やる気」が起きないからだ。では誰が、われらサラリーパーソンのモチベーションを奪ったのか。その答えも明白。経営者である。【渋谷和宏/経済ジャーナリスト】

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 賃金を上げてほしいなら、君たち社員の労働生産性を上げてもらわないと困る。会社の業績が伸びないのは君たち社員の労働生産性が低いからだ。仕事の能率も上げずに給料を上げろなんて言う権利はない――。

 日本経済低迷の時代である「失われた30年」の中で働いてきた企業の社員にとって、「労働生産性」は“悪魔のキーワード”といえるかもしれません。経営者にこの言葉を持ち出されると、ぐうの音も出ない。たしかに私たち社員がもっと一生懸命働いて会社に利益をもたらさないと、経営者だって賃金を上げられるわけがない……。

 真面目で誠実な日本のサラリーパーソンの中には、こんなふうに自分を責める人たちが少なくないのではないでしょうか。

労働生産性を低めているのは誰なのか

 しかし、その考え方は誤っています。なぜなら、OECD(経済協力開発機構)加盟38カ国中30位と、日本の労働生産性が低いのは紛れもない事実ですが、それは社員のせいではないからです。

 果たして、労働生産性を低めてしまっているのは一体誰なのか。それは、失われた30年の間に経営姿勢を変えようとしなかった経営者なのです。

〈と、われらサラリーパーソンを勇気づけてくれるのは、経済ジャーナリストの渋谷和宏氏だ。

「日経ビジネス」の副編集長や「日経ビジネスアソシエ」編集長などを歴任し、多くの企業や社員たちを取材してきた渋谷氏は、昨年11月、『日本の会社員はなぜ「やる気」を失ったのか』(平凡社新書)を出版し、日本の企業体質の問題点を改めて浮き彫りにした。

 先に、サラリーパーソンを勇気づけてくれると記したが、これは決して情緒に訴える話ではない。事実に基づいた指摘である。ひとつの簡単な数式の「読み解き方」がゆがめて伝えられてきたせいで、日本のサラリーパーソンは自責の念を抱え込まされてきたのだという。〉

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