平野紫耀、堂本剛、BTS…中目黒「桜まつり」の名物“ぼんぼり”に、なぜか「男性アイドル」の名前が書き込まれる理由

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「平野紫耀クンの人気が1番高いから」

 都内でも有数のお花見スポットとして知られる「中目黒の桜まつり」。そこでここ数年、商店街の店名に混じり、男性アイドルの名を冠したぼんぼりがやたら目に付く。「祝 イヴ・サンローラン 平野紫耀」、「宇宙一輝け なにわ男子」……。ざっと数えてみただけでも200以上にのぼるが、果たして、いまをときめくアイドルと商店街の間にご縁でもあるのだろうか。主催者に尋ねてみると、そこには知られざる“推し活”カルチャーの存在があって――。

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 毎年300万人以上が訪れる「桜まつり」の名物となっているのが、地元商店街の飲食店などの名前が書かれた約3,000個の「協賛ぼんぼり」だ。夜にライトアップされると幻想的な雰囲気で夜桜を楽しめると、人気の撮影スポットになっている。

 だが、商店街を歩いているとたびたび目に留まるのが、桜ではなく熱心にぼんぼりにカメラを向ける人々の姿。そのほとんどが女性である。

 彼女たちが撮影していた“ぼんぼり”に目をやると、そこには誰もが知る男性アイドルの名前が記されていた。

「祝 イヴ・サンローラン 平野紫耀」
「祝 ルイ・ヴィトン 平野紫耀」
「祝 新・清々しい人 平野紫耀」

 撮影していた女性に事情を聞いてみると、

「これはファンが出しているんですよ! 協賛のぼんぼりは一般の人も申し込みができるので、SNSのファンの繋がりで声を掛け合ったりして。平野くんに新CMが決まったことへのお祝いで、“新・清々しい人”というのは、サントリーの『翠ジンソーダ』のCMのことですね」

 そうした事情を知った上で改めて周囲を見渡すと、あるわ、あるわ…。ファンからのメッセージが綴られたぼんぼりが次々に目に飛び込んできた。なかには、

「宇宙一輝け なにわ男子」
「RIKUの筋肉に絞め殺されたい!」
「いつも幸せをありがとう 高橋文哉(ハート) 」

 こんなファン感情剥き出しのぼんぼりも多く見受けられた。

韓国発祥の「センイル広告(誕生日広告)」

 およそ4キロにわたる目黒川沿いの桜並木には、約3,000個のぼんぼりが飾られているが、そのなかでアイドルの名前が記されたものを数えてみると、ざっと200個以上はありそうだ。

 平野紫耀が圧倒的な人気で約30個。次いで堂本剛の約10個。他にも「高橋文哉」「嵐」「なにわ男子」「青山陸」「BTS」……。目を引くのは旧ジャニーズのメンバーだが、韓流アイドルやLDH所属アーティストの名前も。

 このようにファンが“推し”を私費で宣伝する現象を「応援広告」という。韓国が発祥のカルチャーで、“推し”の誕生日を祝う広告が多いことから、韓国では「センイル広告(誕生日広告)」と呼ばれている。ソウルの地下鉄では車両の広告を推しの写真で埋め尽くす「トレインジャック・ラッピング」まであるそう。

「応援広告」は日本でも徐々に浸透しており、広告代理店のJR東日本企画が実施した調査によれば、2023年度の市場規模は推計で377億円にのぼる。今では駅構内の掲示スペースなどに“推し”のポスターを掲げることのできる専用のパッケージ商品もあり、今後も成長が見込まれるそうだ。

 それにしても、なぜ「応援広告」が地元のお祭りにまで波及するようになったのか。

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