平野紫耀、堂本剛、BTS…中目黒「桜まつり」の名物“ぼんぼり”に、なぜか「男性アイドル」の名前が書き込まれる理由

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「嵐の活動休止」が転機に

「協賛ぼんぼりが始まったのは今から約30年前のこと。当時、目黒川の氾濫を抑えるための改修工事で、桜の木の植え替えが行われたんです。なんとか桜並木を復活させると同時に、地域を発展させたいという思いから、地元の商店街のお店など、一軒一軒に協力を呼び掛けてね。その感謝の気持ちを表すために、というのが始まりなんですよ」

 そう教えてくれたのは地元商店街の役員である。アイドルグループの名前が目立つようになったのは2012~13年の頃からだという。

「その頃から、商店街の店の名前ではない、メッセージ性のあるぼんぼりがポツポツと出始めました。それがSNSに取り上げられて少しずつ認知されるようになり、数が一気に増えたのが2019年頃です。ちょうど嵐が活動休止を発表した年で、メンバーとの別れを惜しむメッセージが目につきました」(同)

 今年からWeb申し込みを始めたところ、応募開始から1日半で締め切りになるほどの人気に。他府県や海外からの問い合わせもあるという。

「推しぼんぼり」の急増についてどう感じているのかと聞くと、「祭りを盛り上げてくれて嬉しい気持ちなんですが」と断りつつも、こんな本音もこぼした。

「ファンの方がね、好きなアイドルグループを応援したいという気持ちはよく分かります。ただ、もともと我々が取り組んできた趣旨とは、ちょっと方向性が違ってきているところもあって……」(同)

「私のぼんぼりの後ろの桜だけ咲いていない」

 一部からクレームのような問い合わせが寄せられて、業務に支障が生じることもあるという。どんな内容かというと、

「たとえば、‟自分の出したぼんぼりがどこに出ているか分からない”‟出したはずなのに見つからない”と。我々が探してみると、ちゃんとあるんですけどね。あと、ぼんぼりの文字はプリントではなく、職人が1つ1つ手書きで綴っているんですが、最近のアイドルグループって記号とか半角全角とか、複雑な名前も多いでしょう。そのため“表記が間違っている“と指摘が入ることもありますね」(同)

 それ以外にも、

「‟なんで私のぼんぼりは桜の前に出ていないんだ”‟私のぼんぼりの後ろの桜だけ咲いていない”という問い合わせが来たこともあります。目黒川の桜の一部は開花の遅いしだれ桜で、ソメイヨシノと開花時期がずれるのはどうしようもないことなんだけどね…… 」(同)

 ぼんぼりの値段は1個あたり数千円。文句を言う側は、お金を払っている「広告主」という気持ちなのかもしれないが、役員は「もう少し祭りの趣旨も考えてくれたら」と話す。

「たくさんの方が中目黒に来て、桜を楽しんでいただいていることは本当にありがたいことだと思っています。ただ、我々も商売としてやっているわけではありません。祭りというのはボランティアで成り立っている部分も多い。桜まつりへの応援の気持ちで協賛していただけるのであれば、こんなに嬉しいことはないんですけどね」(同)

 自分の推しを大事にしたい気持ちもわかるが、長年祭りを守ってきた商店街の方々の思いにも寄り添いつつ、祭りを楽しんで欲しいものだ。

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