巨人は阪神3連戦で投手陣再建をアピール、新人・佐々木俊輔は1番ではない方が…【柴田勲のコラム】

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佐々木俊輔を使い続けるなら…

 第3戦目は拙攻があったし、中川が森下に浴びた一発が致命傷となった。あそこで本塁打はやっぱりいかん。

 それでも高橋礼が低め低めを心がけた投球を見せてくれた。丁寧だった。長打をそう簡単に浴びないのではないか。この3連戦、投手陣再建を印象付けた。

 心配なのは打線だ。新人ながら1番に抜てきした佐々木俊輔の内容が悪い。

 第1戦から3戦までの11打席、ポテンヒットはあったものの、芯で捉えた打球は一球もなかった。

 速球に対応できない。甘い球を見逃して、ボール球を振る。力みがある。見ていると打てる気がしない。オープン戦では成績を残したが、公式戦は違う。出てくる投手が違う。

 もちろん、まだ3試合である。3試合ではあるが守備、足にはいいものを持っている。阿部監督が今後も使い続けたいというのなら、8番に置くのも手だろう。

「タイムリー欠乏症」になるかも

 1番と2番・門脇誠がうまく機能していない。3連戦、岡本和真、坂本勇人の一発が出たが、このまま機能しないと昨年のように「タイムリー欠乏症」に陥る可能性がある。

 1番には吉川尚輝だ。吉川も頼りない面があるけど経験は豊富だ。佐々木が8番で結果を出したら1番に戻せばいいし、ダメなら、松原聖弥だろう。

 萩尾匡也、浅野翔吾が1番候補に挙げられているが、どちらも力不足だ。ことに浅野は打撃が硬い。柔軟性に欠けている。

 このまま1軍に置いておくよりも、ファームに落として1番なら1番でずっと使い続ける。経験をみっちりと積ませる。これがベストだと思うが。

丸の7番に違和感

 ここでひとつ解せないのが秋広優人のファームだ。オープン戦での成績が悪かった(打率1割2分5厘)ということで調整となったようだが、これはどうか。

 秋広は高卒3年目の昨年、一時クリーンアップを任された。打率は2割7分3厘、本塁打を10本打っている。

 いわば実績と経験がある。いくらオープン戦の成績が悪いからといって、開幕からファームにいる選手ではない。近々、上がってくるとは思うが首をかしげた次第だ。

 それに丸佳浩の7番はどうかねえ。チームを外から見るのと中から見るのは違うけど、丸の7番にはちょっと違和感がある。3番に置くのが相手にとっても脅威ではないか。

 最後はあれこれ言ったが、これも巨人が好発進したからこそである。

 2日からはバンテリンドーム ナゴヤに乗り込んで中日3連戦だ。開幕3連戦を「投手陣再建を印象付けた」と前述したが、山崎伊織、ヨアンデル・メンデス、そしてエース復活を懸けて菅野智之が先発する。

 果たして三人がどんなピッチングを見せてくれるのか。打線の行方ともども注目したい。(成績などは1日現在)

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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