「トランプ、バイデンどっちでもいい」…すでに始まっている米中「貿易戦争」 習近平が目論む「TikTok禁止」「制裁関税」をスリ抜ける“秘密工作”の中身

国際 中国

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「グローバル・サウス」

 すでにトランプ政権時代(17~21年)に米政府は3700億ドル相当(約55兆円)の中国製品に最大25%の関税を課しており、その大部分はバイデン政権になってからも維持。さらに関税が上がれば中国にとっては大打撃――と思いきや、「実は習近平政権はまったく慌てていない」と話すのは田代氏だ。

「米中貿易戦争が勃発したトランプ前政権時代に、すでに中国企業は『グローバル・サウス』と呼ばれるインドやインドネシア、トルコ、タイ、フィリピン、ブラジル、メキシコなどに貿易の中継拠点を設け、それらの国々を介して米国に輸出する戦略にシフトしました。実際、中国からグローバル・サウスへの輸出は20年以降に急増しており、米国を除外する形で、中国を起点とした巨大なサプライチェーン網が構築されつつあります」

 中国企業はメキシコやヴェトナムなどに現地工場を建設し、現地人を雇用。中国から輸入した部品や素材を組み立て・加工し、自動車や家電製品、iPhoneなどを製造しているという。

「対中制裁関税によって起きたのは、中国がグローバル・サウスの国々を自分たちの経済圏に組み込む動きを加速させたという、米国にとっては皮肉な結果です。今月に入って米ニューヨークタイムズ紙が『(直接・間接を含めた)中国からの輸出が急増していて“貿易摩擦”を起こす勢いだ』と報じましたが、米国内でも制裁関税の実効性に疑問の声が上がり始めています」(田代氏)

「恫喝」と「化かし合い」を駆使した“チキンレース”の軍配はどちらに上がるか。

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