センバツ 広陵が高知を破り好発進!プロ注目バッテリー「高尾響」と「只石貫太」が見せた全国トップクラスの“経験値”

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頂点まであと一歩

 高校野球の全国規模の大会は、春夏の甲子園と秋に行われる明治神宮大会があるが、一昨年から“ある現象”が続いている。それは広陵に勝ったチームが、優勝を手にしているということだ。2022年秋の明治神宮大会以降の広陵が敗れた試合をまとめてみると、以下のようになっている。【西尾典文/野球ライター】

2022年明治神宮大会決勝:大阪桐蔭6-5広陵
2023年選抜高校野球準決勝:山梨学院6-1広陵
2023年夏の甲子園3回戦:慶応6-3広陵(延長10回タイブレーク)
2023年明治神宮大会1回戦:広陵6-7星稜

 広陵は、山梨学院戦こそ点差は離れたが8回までは同点であり、4大会全てで優勝校と接戦を演じている。この結果を見ても、頂点まであと一歩だったことがよく分かる。

 これらの試合全てを経験しているのが、エース・高尾響とキャッチャー・只石貫太(いずれも新3年)というプロ注目のバッテリーだ。ともにレベルの高い選手が揃うチームで入学直後からベンチ入りし、1年秋からはチームの中心として活躍している。今年3年生となる世代の中でも、その経験値は間違いなく、全国トップクラスと言えるだろう。

終盤のピッチングに凄み

 2人にとって3度目の甲子園、5度目の全国の舞台となる今年の選抜。初戦の相手は、昨秋の四国大会王者の高知だったが、揃って実力を発揮した。先発のマウンドに上がった高尾は、最初の2イニングをパーフェクト、3奪三振と見事な立ち上がりを見せる。3回は2本のヒットを浴びて、ワンアウト一・三塁のピンチを招くも、ここでも落ち着いた投球で後続を併殺打に抑えて無失点で切り抜けた。

 さらなる凄みを感じさせたのは、終盤のピッチングだ。2対0と2点リードで迎えた8回、不運なヒットと味方のエラー、この日初めてとなる四球でピンチを背負い、只石の悪送球で1点を失う。なおもワンアウト三塁、一打出れば同点という場面だったが、後続を空振り三振と力のないサードへのファウルフライに抑えてリードを守った。

 球場のスピードガンは、8回にこの日最速となる145キロを計時した。続く9回は、高知の上位打線を力で圧倒し、三者凡退で試合を締めくくった(試合は3対1で広陵が勝利)。高尾は、この日の投球について、以下のように振り返っている。

「調子は良くて、ボールも走っていたと思います。(自己採点は)90点です。足りない10点は無駄な四球を出してしまったところがあった分です。でも、最後まで自分の投球ができました。8回のピンチの場面はギアを上げて、絶対に抑えてやろうという気持ちで投げました」

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