100歳超でファッションリーダー ”世界最高齢のティーンエイジャー”アイリス・アプフェルさんの独創的な生涯

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 黒縁の丸くて大きな眼鏡、服のデザインは大胆で色合いも多彩。ネックレスを幾重にもつけ、手首にはこれまさまざま々なブレスレットが。

 アイリス・アプフェルさんの姿は、奇抜、過剰なようで全体の調和は取れていると感じるから不思議だ。人目を気にせず、注目を狙うのでもない。自分のために好きな服を着て幸せと思えるかが大切、年相応など関係ないとの信念を貫いた。

 気取ったところなどなく、100歳を超えても、世界最高齢のファッションリーダーと呼ばれて親しまれた驚異のおばあちゃんである。

 2019年、ユニクロのテレビコマーシャルにアイリスさんはフリースコートをまとって登場している。背筋がしゃんと伸びていて、当時98歳とは思えない。

 ファッションジャーナリストの西山栄子さんは言う。

「ファッションデザイナーではなく、インテリアデザイナーとして活躍してきた人です。自分がこれはと思い買い求めた服やアクセサリーを自由自在に組み合わせ、セルフプロデュースしました。大きな黒縁眼鏡にインパクトがありますからそのパワーに負けないような装いをしてバランスが取れました。派手に見えて自分に似合うものを知っていたのです。装いを楽しむ姿が共感を集めました」

ホワイトハウスから信頼された技術力と人柄

 1921年、ニューヨーク生まれ。大学では美術を学び、48年、カールさんと結婚。50年に夫婦で家具を修復する会社を設立した。

 修復に必要な生地も製造、100年以上前の生地の再現にも成功し、実力が高く評価される。50年代以来、9人の大統領のもとでホワイトハウスから仕事を依頼され、古い家具の修復やインテリアのデザインにも携わったほどだ。

 共同通信のワシントン支局長などを歴任した春名幹男さんは言う。

「ホワイトハウスは大統領が代わるたびに内装に手を入れます。たいていは大統領夫人の好みが反映されます。発注者が絶対的で、うまくいって当然という仕事。技術力はもちろん、人物が信用されての依頼です」

 ホワイトハウスでの仕事の様子をアイリスさんは口外していない。半世紀以上経てからカールさんが、ケネディ夫人は大変だったな、と漏らしたぐらいだ。

 インテリアデザイナーとしてハリウッドスターのグレタ・ガルボなど著名人の自宅を任された腕前である。

 05年、メトロポリタン美術館の服飾部門でアイリスさんの服やアクセサリーの展覧会が開かれ大反響を呼ぶ。世界を旅し、インテリアの仕事のために蚤の市を巡った際に装飾品なども収集していたのだ。

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