センバツ出場校で「野球留学生」が多い高校はどこか 登録選手20人のうち19人というケースも

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 野球留学という言葉をご存知だろうか。佐々木麟太郎がアメリカのスタンフォード大学に留学する話ではない。留学といっても国内の、それも高校を対象にしたものだ。保護者の住む都道府県とは別の、かなり距離の遠い高校に入学し、野球部に所属することを意味する。

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 留学先としては私立の野球強豪校が目立つ。親元を離れて生活できるよう寮を整備している野球部も多い。

 代表的なパターンの一つに、関東圏や関西圏で生まれ育った中学生が活躍の場を求め、東北や北陸などの高校へ進むケースが挙げられる。

 都市部は野球人口が多く競争が激しい。地元の強豪校に進んでも活躍できない可能性がある。そのため地方の甲子園常連校に進むというわけだ。

 少子化の進む地域なら、レギュラー入りも夢ではない。高校側の積極的なスカウト、リトルリーグやシニアリーグの関係者による売り込み、果てはブローカーの存在まで報じられるなど、昔から物議を醸してきた。

 一方、高校は義務教育ではないため、生徒の選択を尊重する意見も多い。地域の活性化に寄与したり、過疎化が止まったりした自治体もある。経済的な問題を抱えている中学生が特待生制度などにより高校教育を受けられるメリットも指摘されてきた。

 少し古いが、複数の全国紙が世論調査を行ったこともある。読売新聞が2007年5月に行った調査では、次のような質問項目が用意された。

地元中を卒業していない部員

《高校野球では、選手が出身県以外の強い高校に入学する、いわゆる「野球留学」によって、主力メンバーの大半を県外出身者が占めるチームもあります。あなたは、こうした野球留学について、一定の歯止めが必要だと思いますか、それとも、今のままでよいと思いますか》

 この質問に対し、「歯止めが必要だ」は46・3%、「今のままでよい」が34・8%、「どちらとも言えない」が16・3%となった。

 翌08年3月には毎日新聞が調査を実施。「日本高校野球連盟に最も望むことは何ですか」との質問に、「野球留学の特待生を禁止してほしい」と答えたのは、わずか11%に過ぎなかった。

 読売新聞の調査からは、野球留学に関する賛否は拮抗していることが分かった。毎日新聞の調査からは、野球留学の是非について、かなりの人が重要な問題とは考えていない可能性が浮き彫りになった。

 3月18日、第96回選抜高等学校野球大会が開幕した。「春の甲子園」、「センバツ」などと呼ばれることが多く、今年は一般選考の30校に、21世紀枠の2校が加わり、合計32校が出場を果たした。

 毎日新聞出版が発行する『センバツ2024 第96回選抜高校野球大会公式ガイドブック』(サンデー毎日編集部)ではベンチ入りする選手のプロフィールを紹介している。

 ベンチ入りできる部員は20人が上限。ガイドブックには選手の出身中学校も記されており、高校とは違う都道府県の場合は(東京)(千葉)(大阪)などと記載されている。

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