巨人、3番・門脇には疑問符、1番は吉川か…今季の打線を考える【柴田勲のコラム】

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新人佐々木にも注目

 最近の岡本和は打席でどっしりと構えている。ボール球に手を出さなくなった。自分が打てる球、甘い球をじっくりと待つ。そして見逃さない。王(貞治)さんがそうだった。

 吉川も29歳になった。ウカウカしていられる年齢ではない。昨年は132試合に出場、打率は2割5分6厘だった。物足りない数字だ。フル出場して打撃面で成長することが巨人にとっても大きなプラス材料となる。阪神は1番・近本光司、2番・中野拓夢のコンビが機能して数少ないヒットでも得点することができた。相手にとって実に嫌なコンビだった。

 巨人も1・2番コンビが決まればあとは3番・坂本、4番・岡本和、そして5番・丸佳浩の三人を軸に打線を組んでいけばいい。3番と5番はいつでも入れ替えOKだ。

 新人の佐々木俊輔(日立製作所)がオープン戦で打撃好調だ。外野のレギュラー争いは近年になく激しい。この佐々木、新人ながら頭一歩抜け出しそうなほど勢いが良かった。

 だが17日、9回1死二、三塁のシーンで打席に立ったが空振りの三振に倒れた。やはり気持ちに余裕がないのか。

 ここでポーンと外野フライでも打ち上げたら首脳陣の評価もまた上がる。違う。でも、こんな結果に終わったら「ウーン…」となってしまう。これでは1軍に残っても代打要員かな。

他にも注目は…

 投手陣は29日からの阪神3連戦(東京ドーム)を戸郷翔征、フォスター・グリフィン、高橋礼、続く4月2日からの中日3連戦(バンテリンドーム ナゴヤ)を山崎伊織、ヨアンデル・メンデス、そして菅野智之でスタートを切ることがほぼ確実となった。

 16日に日本ハム戦に先発したグリフィンは2回を7安打3四死球5失点、2試合連続で5失点以上となった。

 球が浮く、引っかかる、さらにはすっぽ抜けもあった。力で抑え込もうとするのではなく、丁寧に投げて打たせて取る、こういう意識も必要だと思う。

 だけど「7番手の男」と言われる赤星優志が17日の先発で5回を1失点と結果を出した。あとは外角低めの制球力を磨くことだ。グリフィンの代役は可能だ。

 現時点で先発に決まった6人には6回を2失点、いや戸郷と山崎は7回を2失点、これを目標に投げてほしい。

 右ふくらはぎ痛で出遅れていた大勢も復活が見えてきた。今季の巨人投手陣は中継ぎ陣も充実している。17日に登板した京本眞もスピードがあったし、力強さを感じた。

 22日からは東京ドームに楽天を迎えて開幕前最後の3連戦。この時には今季の巨人の姿が分かるだろう。楽しみだ。

 次回の今コラムはセ・パの順位予想を含めて記したい。(成績などは18日現在)

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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