薬剤師が語る「花粉症に本当に効く薬」 季節性アレルギー専用商品がポイント… 「医療用でなく市販薬の有効活用」

ドクター新潮 ライフ

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〈季節性アレルギー専用〉がポイント

 誤解を恐れずに言うと、医療用医薬品は「味気の無い薬」です。治療に必要な成分だけで作られていて“遊び”がない。もちろん、医療用医薬品の目的は病気の治療ですから、遊びがないこと自体は何ら悪いことではありません。

 他方、一般用医薬品は、メントールの成分が加えられていて点鼻したときにスッとしたり、あるいは薬液にラベンダーの香りが付けられていたりすることもあります。こうしたちょっとした遊び心というか、使用者目線での付加価値があったりする利点も一般用医薬品にはあるのです。

 では、市販のステロイド点鼻薬はどんなものを選べばいいのでしょうか。

 花粉症はアレルギー症状のひとつですが、アレルギー性鼻炎用の点鼻薬は山ほど売られています。一方、季節性アレルギー、つまり花粉症に狙いを定めた点鼻薬は実は限られています。それをどう見極めるのか。単純ですがあまり知られていないのが、薬のパッケージに〈季節性アレルギー専用〉と謳(うた)われているか否かというポイントです。

 季節性アレルギー専用のステロイド点鼻薬は、スギ花粉が飛散する2月中旬から5月中旬までの約3カ月間、1日2回噴霧し続けても問題がなく、また使い続けることで効果を発揮する、文字通り季節性アレルギーに特化した薬です。

緊急時以外は…

 これに対して、広くアレルギー性鼻炎に用いる点鼻薬には、花粉症治療には「余計な成分」が入っていたりします。例えば血管収縮剤です。鼻に噴霧してから10分もすれば鼻詰まりが軽くなり、2~3時間効果が持続します。瞬時に不快感が解消される即効性があるため、つい頼りがちですが、使い続けていると薬が原因で鼻の粘膜が腫(は)れ、鼻詰まりがかえって悪化してしまう「薬剤性鼻炎」を引き起こす危険性があります。

 血管収縮剤が配合された点鼻薬は、あくまで緊急避難のための「ピンチヒッターの切り札」としての使用にとどめるべきです。これから大事な面接試験がある、あるいは結婚式でのスピーチが控えているのに、鼻詰まりがひどくて話すこともままならないといったような切羽詰まった時には使ってもいいでしょう。

 そうした緊急時以外は、ピンチヒッターに頼らず、毎日、頑張ってくれる「スターティングメンバー」とでも言うべき「季節性アレルギー専用のステロイド点鼻薬」の使用をお勧めします。具体的な商品を調べるには、例えばOTC医薬品メーカー72社加盟の「日本OTC医薬品協会」がサポートする「おくすり検索」というサイトが役立つと思います。

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