実父の棺にすがりついて泣く女性と実母が取っ組み合い、そして10年後に再び大騒動が…49歳男性が語る「2度の修羅場」

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「つきあってはいけない相手」はいるのだろうか。たとえ不倫であろうと、どうしようもなく惹かれ合ってしまうこともある。そんな相手なら、「早く別れたほうがいい」ともわかっているが別れられない。それはもちろん「別れたくない」からだ。相手がどんな立場の人であれ、好きになってしまうことはある。気持ちが持って行かれるのは、理性ではどうにもならないのかもしれない。

 井田弘哉さん(49歳・仮名=以下同)は、33歳のとき仕事で知り合った取引先の菜々美さんと結婚した。14歳の娘、12歳の息子との4人家族だ。

「この10年あまり、妻には言えない秘密を抱えてきました。それがついに知られてしまい、大騒動が起こったのが昨年暮れ。それ以来、妻とはギクシャクしています」

すべての始まりは「父の葬儀」だった

 子どもたちには、高齢の母親が気になるということにして、母がひとりで暮らす実家に身を寄せることも増えた。いったい、何があったのか。

「11年ほど前でした。当時70歳だった父が急逝したんです。父は経理畑の専門家で、定年後、友人の会社を手伝っていました。楽しそうに働いていたようだし、その会社の若手たちとも仲良くやっていた。ところがある日、出社して早々倒れた、と。大動脈解離だったそうです。そのまま還らぬ人となりました」

 母から連絡があり、弘哉さんが病院に駆けつけたときにはすでに父は亡くなっていた。穏やかな顔だった。

「自分が死んだことさえ気づいてなかったんじゃないかと母とも話しました。その2週間後には母と海外旅行に行くはずだった。ふたりともはしゃいで準備を重ねていたのに……」

 愛妻家で子煩悩な父親だった。遠方で暮らしている弟一家も駆けつけてきた。自宅が大好きだった父だからと、家族は父を連れ帰って自宅で通夜を営んだ。

「あのころでさえ自宅で通夜は珍しかったと思います。定年退職して10年もたっているし、それほど来てくれる人もいないだろうから自宅でできると思ったんですが、実際にはかなりの人たちが来てくれました」

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