愛猫と被災、避難所でどう過ごしたら… 需要急増「専用ケージ」開発に込めた想い

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繰り返す改良

 さらに「猫にとってトイレは非常に重要」として、ケージ内の半分近いスペースに猫用のトイレを置けるようにしたことや、外から見えづらく、猫自身のプライバシーが確保できることにもこだわった。「人の目にさらされない隠れ家のような作りであれば、慣れない場所でも猫が安心できる。それに猫は万が一逃げてしまうと、二度と会えなくなる可能性も高いので、脱走防止にも力を入れました」と明かす。

 震災による避難所の様子やペット事情などが伝えられたことが契機となり、昨年末までに抱えていた在庫が、1月末までにきれいになくなった。

 4年強の販売期間中に改善点なども見えてきた。「ケージとしては軽いが、これを持って避難する際、専用の袋に入れて肩から掛けると、横長で持ちにくくなるので縦と横の比率を近くしてコンパクトに持てるようにしたい」と話す。こうした改善点を見出したため、「同一商品を販売するより、より良く改善したものを、と考えていたところだったので再販の予定はたっておりません」という。

 今回の震災で「ペットを連れて行けないからと自宅に留まって(人が)命を落とした例もあります。ペットを失い、生きる気力をなくす方もいます。非常時は人命優先とはいえ、ペットを救うことは飼い主を救うことにつながるので、人もペットも助かることが大切」と山下代表は指摘する。「避難所などの住み分けによる同室避難を可能にするなどの見直しと同時に、飼い主には自分がペットを守る意識を持ってほしい」とも話し、それに資するような新たな商品の開発に今後、心血を注ぐことになりそうだ。

デイリー新潮編集部

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