世界卓球で絶対王者に肉薄! 打倒中国を目指す「女子五輪トリオ」に求められる“3つの進化”とは?

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中国に衝撃を与えた「世界卓球」での躍進

「世界卓球2024 団体戦」が2月16日から25日まで韓国・釜山にて行われた。パリ五輪の出場権がかかる大会で、同5日にパリの候補男女3選手ずつが発表された直後の国際大会ということもあり、“前哨戦”として大きな注目を集めた。【井本佳孝/編集者・ライター】

 そんななか脚光を浴びたのが女子チームの躍進だ。パリ五輪では“エース”としての役割が期待されるサウスポー、早田ひな(23)に、かつて“ハリケーン”と称された高速卓球を武器に一世を風靡した平野美宇(23)。そして、男子のエース・張本智和(20)の妹でパリ五輪の3番手メンバーに選出された新星、張本美和(15)を中心としたトリオで銀メダルを獲得。さらに、決勝では卓球王国の中国相手に2試合をものにするなど最後まで追い詰めた。

 夏に控えるパリ五輪に向けて、最強中国にインパクトを与えた女子チーム。五輪本大会での金メダル獲得に向けて、ここからどのような進化が求められるのか。

 世界卓球では、早田と平野がグループステージ、決勝トーナメントの全8試合に起用され、早田は決勝で世界1位の孫穎莎に敗れたが8勝1敗、平野は8戦全勝と“黄金世代”と呼ばれる23歳が安定した活躍でチームをけん引。また、張本はグループステージ2試合、決勝トーナメントでは3試合の計5試合に起用され、“2点起用”された中国戦では悔しい連敗を喫したものの4勝2敗の好成績。初の世界卓球で堂々のプレーを披露した。

早田の“最大のライバル”は同世代の中国選手ふたり

 この3人のなかでも夏の五輪に向けてチームの屋台骨の働きを担うのは早田だ。前回の東京五輪ではリザーブメンバーに回ったサウスポーが満を持しての五輪初出場。世界ランキングでは日本勢トップの5位(2024年2月27日更新)をキープし、全日本選手権では2連覇と国内では敵なしと呼べる状態。昨年の「世界卓球2023 個人戦」や「第19回アジア競技大会」といった重要な国際試合で中国勢を倒してメダルを獲得しており、選手としての“格”を上げた。

 そんな早田だが、昨年は現世界3位の王芸迪には2連勝したものの、それ以外の中国トップ選手には重要な大会で敗れていた。しかし、今回の世界卓球では東京五輪シングルス金メダルの陳夢相手に互角以上のラリーを展開し初勝利。男子顔負けの豪快なフォアドライブが持ち味の早田だが、バックハンドのレシーブや試合の状況を見つつ変化を加えていくサービスなど、選手としての引き出しを増やし、総合力を高めている。今回の陳夢相手の勝利で、またひとつ世界トップへの道に近づいた。

 早田にとって現状、最大のライバルと呼べるのが同世代のふたり、世界1位の孫穎莎と同4位の王曼昱。絶対女王である前者とは何度も激戦を繰り広げ、今回の世界卓球でも決勝で対戦し早田が敗れた。また、後者とは昨年11月の「WTTチャンピオンズ フランクフルト」でマッチアップし、1ー4で敗退。早田はこの試合のことを後に振り返り、「現実を突きつけられた」「このままじゃ世界一にはなれない」と言及している。五輪に向けてさらなる強化が求められるなか、この両者に対して互角に渡り合える進化が“エース”には求められる。

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