「ある国の役員が審判に贈り物を…」 男・山根明の息子が明かすボクシング業界の闇と「山根騒動」の裏側

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 日本ボクシング連盟前会長の山根明氏が1月31日、肺がんのため84歳で死去した。2018年、とにかく強烈なキャラクターで日本中の話題をかっさらったが、今にして思えばあの騒動とは何だったのか。唯一の実子、昌守氏(59)に“オヤジの真実”を聞いた。

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 明氏が大阪市内の病院で亡くなった時刻は午前3時35分。昌守氏が最後に顔を合わせたのは、前日の夕方4時ごろだった。

「私の次女が祖父(明氏)を大好きで、その日もお見舞いに行っていたんです。彼女が撮った動画を見たらオヤジがゼーゼー息をしており、急いで病院に駆け付けました」(昌守氏)

 明氏は息子が来たことになかなか気付かず、ベッドに腰かけながら顔をテーブルに伏せていた。

「おえつを漏らしているような状態で、ずっと下を向いていたんです。やっと顔を上げて目が合ったと思ったら、看護師さんが“面会の時間は終了です”と。そこで“オヤジ、帰るわ”と言ったら、手を差し出してきてくれました。その手を握って“ありがとう”と気持ちを伝えると、オヤジは何度も何度もうなずいていた。それが最後です」(同)

 葬儀は明氏の4人目の妻、智巳氏が喪主を務め、近親者のみで執り行われた。

「オヤジは私が知るかぎり、生涯ほとんど仕事らしい仕事をしたことがありませんでした。毎日、朝から晩までカネにならないボクシングのことで、あちこちを駆け回っていたからです。奥さんたちや私にはさんざんな迷惑をかけたと思う。ただし、ボクシングについては本当に“世界のヤマネ”でした」(同)

「決して私腹を肥やしていたわけではない」

 振り返れば6年前、日本ボクシング連盟における助成金の不正流用や身びいき審判などの疑惑が、明氏にかけられた。「日本ボクシングを再興する会」なる団体が同年7月、日本オリンピック委員会などに告発状を提出したからだ。突如としてバッシングの嵐が吹きつけた中、明氏は翌月に会長と理事を辞任した。

「たしかに、助成金の不正流用はやってはいけないことでした。とはいえ、オヤジが目をかけていた3番手の選手にもカネが分配されるように、親心でやったこと。決して私腹を肥やしていたわけではありませんでした」(同)

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