ロシア制裁のブーメラン効果…ウクライナ戦争が長期化するほど経済大国・ドイツの危機は深まる

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西側の制裁に音を上げないロシア

 米国政府は2月23日、ロシアの軍需産業などを標的にした追加制裁を発表した。

 防衛や金融分野を中心に500を超える団体や個人を対象としたもので、バイデン大統領は「(ロシアは)一段と厳しい代償を支払うことになる」と強調した。

 欧州連合(EU)も同日、軍事転用可能な電子製品などをロシアに輸出したとして、初めて中国企業3社をEUの輸出規制リストに加えるなどの措置を講じた。

 ロシアがウクライナに侵攻して以来、2年が経過したが、西側諸国がロシアに科した制裁措置の数は累計で約1万9000に達し、第2位のイラン(約5000)の4倍近くに上る(1月10日付ZeroHedge)。

 西側諸国は史上最強の制裁を科したが、ロシアが音を上げることはなかった。

 2022年の経済成長率は前年比1.2%減のマイナス成長だったが、23年の成長率は3.6%増と1年で持ち直した。国際通貨基金(IMF)は最新の見通しで、今年は2.6%増と予測している。

「かつてない潤沢ぶり」の指摘も

 軍事関連需要の拡大がロシア経済の好調さを支えている。

 23年の国防費は22年に比べて約8割増加し、政府支出(約53兆円)の約2割を占めた。24年はさらに上昇して約3割となる見込みだ。

 そのおかげで22年の機械産業が21%増加するなど、軍需関連産業が絶好調だった。「制裁によりロシアが資金難に陥る」との期待もあてが外れてしまったようだ。

 2月25日付CNNは「フィンランドに拠点を置く調査団体『エネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)』が『ロシアの国庫はウクライナ侵攻前に比べ13倍以上の現金を抱え、かつてない潤沢ぶりを示している』との分析結果を明らかにした」と報じた。

 CREAはその要因として「インドへの原油輸出が昨年、過去最高となる370億ドルとなった」ことを挙げている。

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