「カイロを便器に流され週に何度も修理」「注意すると逆ギレ」 中国人観光客に人気の白川郷の住民が嘆く「観光公害」

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カイロを便器に流す者も

 岐阜県の北部、富山と石川の県境に近い豪雪地帯に位置する白川郷。日本の原風景とたたえられる伝統的な街並みは見事に雪化粧していたが、それを見渡す展望台では外国語が多く飛び交っていた。

「当地への来訪者の8~9割が海外の旅行者で、昨年までは欧米からの来訪者が多かったのですが、今年はコロナ明けと春節の影響か中国系の人々がずいぶんと増えています」

 と話すのは、白川郷観光協会の井高篤史氏(43)。

「中国人は香港や台湾の方を合わせれば外国人観光客の4割近く。大勢の人に来ていただくのはうれしい反面、多くの住民がトラブルに悩まされています。白川郷では入場料を徴収しておらず予算に限りがあるのでゴミ箱を設置していません。それでトイレにゴミをポイ捨てする人が増えています」

 今の季節だと、使い捨てカイロを便器に流す不届き者まで現れ、週に何度も業者を呼んで修理しなければならないこともあったそうである。

「ゴミを雪の中に紛れ込ませる人が多い」

 とはいえ、集落の路地を歩いても不思議とゴミのポイ捨てはあまり目につかない。やはり合掌造りの伝統建築を前にすればゴミで汚すなど無粋極まる。訪れた誰もがそう思うのだ、という考えは単なる幻想だった。

 合掌造りの家に泊まれることで人気の「民宿かんじや」で働く矢野智代美さん(59)が、こう明かす。

「意外とポイ捨てが少ないと思うかもしれませんけど、隠されているだけ。お団子を食べた後の串とか飲み終わったペットボトルを、雪の中に紛れ込ませる人が本当に多い。春になって雪が溶けると、そこら中がゴミだらけになるんです」

 幻想的な銀世界の村でも、「色の白いは七難隠す」なんて言葉は通用しない。

「私有地への立ち入りも本当に困る。しばしば雪かき用のスコップを勝手に持っていかれて、雪遊びに使われるんです」(同)

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