ルーツは満鉄?タモリほど鉄道の間口を広げた芸能人はいない… 「ブラタモリ」終了で考える功績

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 2008年にパイロット版が放送され、2009年から断続的にレギュラー放送されてきたNHKの人気番組「ブラタモリ」が、2024年3月末でレギュラー放送を終了する。

 タモリさんは同番組で全国各地を漫遊してきた。各地を漫遊しながら、その地域の地形や地質、都市が抱える特有の事情などを分析し、どうやって発展を遂げてきたのかを解き明かした。

 番組で紹介された各地域・各都市が抱える事情や歴史的背景はさまざまだが、そこに鉄道が影響したことを示唆するような回も目立った。

 2012年1月26日に放送された鉄道総合技術研究所(国分寺・後編)や2015年7月20日に放送された東京駅で鉄道がクローズアップされたことは当然ながら、2017年7月1日に放送された埼玉県の大宮も鉄道の街として知られているから鉄道との関連性が紹介されることは自然な番組構成といえる。

尾道や長瀞でも「鉄道」に言及

 さらに、2018年1月20日に放送された東京の田園調布も渋沢栄一が田園都市を夢見て取り組んだ事業を後に目黒蒲田電鉄(現・東急電鉄)が実現した歴史がある。それを踏まえれば、鉄道色を打ち出しても不思議ではない。

 そもそも明治以降における地域や都市の発展史を語る上で、鉄道は欠かすことができない。鉄道が開通したことで、人の往来が活発になって駅前に繁華街が形成される。また、鉄道により物流網が整備されて、製造業が盛んになって工業都市として発展を遂げた都市も少なくない。

 鉄道が地域や都市に与えた影響を考慮すれば、地域や都市を漫遊する「ブラタモリ」は鉄道に触れざるを得ない。

 しかし、2017年5月20日放送の広島県の尾道や2017年8月19日に放送された埼玉県の長瀞などは鉄道との関連性を見出しにくい都市だろう。そんな尾道や長瀞でも、番組では鉄道との関連性に着目した内容になっていた。

 タモリさんが鉄道好きであることは周知の事実で、そうした一面が番組の企画や構成に大きな影響を与えていることは間違いない。それらに加えて、同番組の初期にプロデューサーを務めた尾関憲一さんの方針も「ブラタモリ」の方向性を決定づけている。

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