中国のEC最大手「アリババ」創業者「ジャック・マー」が沈黙を破った背景に「巨額特許訴訟」
管理プログラム
EMSは、中国人観光客が日本で「爆買い」した大量の商品を送ったり、EC事業者がプラットフォーム上の出品者から購入者への直接配送を謳い、商品を輸入する際に使われていた。
「しかし、EMSでの輸入は税関検査に膨大な時間を要し、急拡大する中国の消費意欲に対応するのが困難になりました。さらに、中国政府としても、輸入品全部の税関検査は事実上不可能で、違法な輸入品の通関を許したり、また、課税対象の輸入品を見逃していることを問題視した。そのため、中国政府はこの方式とは異なる、新たな制度、すなわち事前通関制度を導入したのです」
中国は事前通関の導入によって、関税を漏れなく徴収できるようになった。この事前通関を運用する「管理プログラム」の特許を持つのが、BWBなのだ。
「アリババは20年9月から、類似の管理プログラムをBWBの許可なく利用するようになりました。菜鳥が税関に商品の情報を事前登録するときに、日本のメーカーなど出品者はその管理プログラムで商品情報を菜鳥に送信する。BWBが特許権侵害を指摘するのは、そこの部分です」
「週刊新潮」2024年2月22日号「MONEY」欄の有料版では、特許訴訟の内容を詳報する。なお、アリババは、「原告が主張するような侵害行為は一切ないと確信しておりますが、詳細については裁判の場で主張していく所存です」と主張している。
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