能登半島地震は人災だった? 27年間放置された県防災計画…「死者数は7名」という信じられない予測が

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想定されていた死者は7名

 具体的に見ていこう。

 今回の能登大地震で動いたとされる断層は、半島北方沖の海底活断層で長さは150キロ、マグニチュードは7.6。

 一方で文書は、県内で起きるものとして四つの地震を想定している。そのうちのひとつが「能登半島北方沖の地震」。今回の震源と近いケースだ。

 が、ここで想定されている断層の長さは50キロ、マグニチュードは7.0。

 今地震とエネルギーを比較すれば8分の1と、極めて過少である。

 それゆえ、だ。

 今回の地震の死者は現在、240名。住家被害の棟数は5万5000棟を超える。

 それに対して、防災計画で想定されていた「能登半島北方沖の地震」の死者数は7名、建物全壊棟数は120棟と信じがたい数字が並んでいる。さらには、災害の概況として「ごく局地的な災害で、災害度は低い」と、今となってはブラックジョークのような文言すら記されているのだ。

“見直すべきだ”と要請

 なぜかくも、実態とかけ離れた想定が出されたのか。

「県が出しているこの想定は、実は1997年度に調査が行われたもの。それがそのまま改訂されずに使われていたんです」

 と述べるのは、その防災会議「震災対策部会」部会長の室崎益輝・神戸大学名誉教授(防災工学)だ。

「17年前にこの地で大きな地震が起こって以来、われわれ専門家はこの想定は見直すべきだと何度も県に要請してきました」

 室崎氏が指すのは、2007年の「平成19年能登半島地震」のことだ。同年3月、半島西方沖でマグニチュード6.9の地震が起き、最大震度6強を計測した。

「この地震を受け、県には“ちゃんと(97年の地震想定を)見直してくれ”と言いました。でも、07年の死者は1名。建物倒壊の死者はゼロ。県は逆に“大丈夫”と思ってしまったんじゃないかな」

 2011年には東日本大震災も起こっている。

「この時も、われわれは想定の見直しを要望しました。しかし、防災計画の『津波』の方はすぐに見直されたものの、『地震』の方は手付かずのまま、時が過ぎていったのです」

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