女子卓球“団体3枠目”は15歳「張本美和」に決まるのか? 大魔王「伊藤美誠」が勝てなくなった根本的な理由

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明暗を分けた6回戦

 1月28日に閉幕した卓球の“国内女王”を決める全日本選手権は、パリ五輪日本代表の最終選考会を兼ねた熾烈な争いが展開された。パリ五輪の女子シングルス代表は2名。既に早田ひなが代表入りを決め、残る1枠を選考会2位の平野美宇と3位の伊藤美誠が激しく争っていた。全日本の結果次第では、平野と伊藤の立場が逆転する可能性があり、その一方、東京五輪女子シングルス銅メダリストで、混合ダブルスチャンプの伊藤が代表漏れすることも考えられ、例年以上に注目を集めた。

 平野は過酷な代表争いで、痺れるような緊張感にさいなまれていることを明かしていたが、それは伊藤も同じだった。両者が全日本の舞台に立ったとき、それは最高潮に達した。シードで4回戦から登場した平野と伊藤は、ともに初戦で格下選手を相手にフルゲーム、4-3のギリギリで勝利。薄氷を踏む思いだった。世界ランクからも、世界で戦ってきた経験からも圧勝しなければいけない戦いで、もたついてしまった。

 2人の明暗を分けたのはその後の6回戦だった。平野は徐々に調子を取り戻し、4-0でストレート勝ちし、安堵していた。一方の伊藤は、本来のプレイが取り戻せないまま、やはり格下の選手相手に3-4で競り負けてしまった。この時点で、パリ五輪のシングルス代表は平野に決まった。

過酷な選考レース

 パリ五輪シングルスの代表の座を逃した伊藤は、その複雑な胸中を、団体戦代表辞退や現役引退を匂わせてこう語った。

「私はずっと(五輪の)シングルスで優勝することを目標にしていて、シングルスで成し遂げたいと。団体戦に選出されても出るかどうかは、はっきり決まっていないですが、まずは落ち着いてどこまでやるかをしっかり考えたい。でも、昔からの目標は、いいところで終わるというのが一番。これで終われないという気持ちもすごくあるけど、終わりたいという気持ちもあります。でも、良いところで終わりたいから、もう少し頑張ります」

 女子シングルスの代表枠は2名。これに加えて3名で戦う団体戦要員として、日本卓球協会の推薦によりもう1名が選出される。

 伊藤はパリ五輪団体戦のメンバーに選ばれても「出るかどうかははっきり決まっていない」と言い、「(これで)終わりたいという気持ちもあります」と引退すら匂わせたのだ。それだけ過酷な代表選考レースだったともいえる。まだ23歳と年齢的には若いが、10代前半から注目を集め期待されてきた卓球人生には、想像できない疲労が蓄積しているのかもしれない。その懊悩は本人にしかわからない。

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