現役引退後、37歳の時“うなぎ職人”に…元プロ野球選手(62)が語る“飲食店で成功した秘訣”24年間続いたうなぎ屋は今月末で閉店へ

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今こそ響く、恩師・野村克也の教え

 店内には現役時代のユニフォームやバット、ポスターなど、野球に関係するアイテムが飾られている。当然、野球ファンも多く来店する。

「お客さんから、“現役時代はファンでした”とか、“あの試合はこうでしたね”とか、昔の話をしてもらうことが多いんだけど、それはやっぱり嬉しいよね。特に“大洋ホエールズ時代からファンです”なんて言われたら、もう最高だよな」

 大野の人柄を慕って、かつてのチームメイトたちも訪れる。野村克也監督時代のヤクルトメンバーは、しばしば「大乃」で酒宴を開催し、古田敦也は自分のYouTubeチャンネルをこの店で収録したり、テレビ番組で紹介したりしている。

「ありがたいよな。先日もテレビで紹介してもらったんだけど、特に最近はすごいよ。大阪からわざわざうなぎを食べに来たお客さんもいたよ。もうイヤになるぐらいうなぎを焼いて、焼きそばを作った(笑)」

 還暦を過ぎ、「いつまでこの生活を続けるのだろう?」という思いが芽生えた頃、ビルの取り壊しが決まった。

「2000年にオープンして、20年以上も経ってみて思うのは、“野村さんの言う通りだよな”っていうことだよね。野村さんはミーティングのときに、“野球を辞めてからの人生の方が長いんだから、現役のうちから引退後のことを考えておけよ”って言っていたけど、本当にその通りだよね。そうそう、野村さんも来てくれたんだよ、この店に」

 それは、テレビ番組によるドッキリ企画だった。当初は「芸人が訪れる」と聞かされていた。けれども、閉店時間を過ぎてもやってこない。大野が焦れている中、登場したのが野村克也だったのだ。

「女房も、ビルの警備員もみんな知っていたのに、オレだけ知らされていなかったから、本当にビックリしたよ。で、うなぎを出したんだけど、あの野村さんが、“ワシは滅多にお世辞は言わないけど、このうなぎは本当に美味い”って言ってくれてね、嬉しかったよ」

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