実は公表されていた能登半島の地震リスク なぜ無視されたのか

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 能登半島地震の震源・能登沖の活断層が政府の地震調査研究推進本部による長期予測の対象外となっていたことは「週刊新潮」1月25日号でお伝えした通り。しかし、政府は別の調査では、この地で巨大地震が起こる可能性を想定していた。リスクはなぜ無視されたのか。

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 その調査とは、国土交通省が中心となった「日本海における大規模地震に関する調査検討会」によるものだ。津波対策の観点から、日本海側の60カ所の活断層が動いた場合、それぞれどのような規模で津波や地震が起こるかを2013年から14年にかけ、専門家が予測した。

 その中に能登沖の「F42」「F43」という活断層も含まれ、これが動いた場合の地震規模は最大でマグニチュード7.6相当とされている。まさにこの「F42」「F43」こそが今回の地震の震源とみられる断層。しかも今地震のマグニチュードもぴたり7.6と、まさに能登大地震の発生を言い当てた調査だったのである。

「無責任さを感じた」

 ところが、国や県はこれを生かせなかった。

「この調査は専門家の間では広く知られたものでした」

 とは、東京新聞記者で、『南海トラフ地震の真実』の著者・小沢慧一氏の言。

 日本の地震研究の本丸は文部科学省が事務局を務める先の地震本部であるが、

「当然、この調査は本部も承知していました。しかし共有し、広く発信してこなかった。一方で、自らの評価ではこの活断層を対象外としていました。地震本部傘下の地震調査委員会・平田直委員長は地震後の会見でこの点を問われた際、“(そうした危険が)伝わっていなかった”と述べましたが、“伝えていなかった”のが実情では。無責任さを感じました」

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