「東京機械」乗っ取り騒動の当事者「アンセム・ウォン」が明かす 企業防衛アドバイザーの二股劇

ビジネス

  • ブックマーク

Advertisement

ご提案

 ADCによる買収計画を察知した栗尾元副社長が来訪したのは、21年3月のこと。

「その時点で、すでに2%程度の東京機械株を取得していました。ただ、買い増し資金の工面ができなかった。ADCは私の前任の網屋信介元代議士が社長だった時代、循環取引による水増し会計に手を染め、証取委から立入検査を受けていました。それゆえ、東京機械買収の元手となる300億円を新株発行で調達する計画を断念せざるを得なかったのです」

 資金繰りに苦しむ最中、栗尾元副社長から渡されたのが「ご提案」と題する4枚の資料。いわゆる「ウルフパック戦術」と呼ばれる手口での乗っ取りを勧める内容だった。

「ただ、栗尾さんのウルフパック戦術には、欠陥がありました。というのも、ADCは上場企業でしたから、ファンドへの出資は情報開示の対象です。誰にも知られることなく、複数のファンドと手を組むことは不可能。もとより、不法に東京機械を乗っ取るつもりはありませんでしたが、栗尾さんとは21年4月末までに3回の打ち合わせを重ねました」

「週刊新潮」2024年1月25日号「MONEY」欄の有料版では、栗尾元副社長の裏切り行為の経過とアンセム・ウォン氏側が被った損害について詳報する。

週刊新潮 2024年1月25日号掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。