「派閥解消」で大勝負に出た岸田総理 元側近は「真面目にやっている宏池会メンバーは困惑」「政権の延命狙いだと言われても仕方ない」

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 60年以上の歴史を誇る派閥を解散するという大きな決断は吉と出るか、凶と出るか。1月21日までに各社で行われた世論調査を見ると、岸田文雄総理の「宏池会解散」という乾坤一擲は国民の理解を得られていないように見える。では、長く宏池会に在籍し、総理を支えてきた「ご意見番」の目には一連の総理の言動がどう見えているのか。

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国民に見透かされている

 まずは今回の世論調査の結果について整理しておこう。

 読売新聞社が19日から21日にかけて実施した世論調査によれば、岸田内閣の支持率は24%で、昨年12月の調査から1ポイントダウンという結果となった。内閣不支持率は前回から2ポイント改善されたものの、61%と依然として高い水準となっている。

 朝日新聞社による20日、21日の世論調査でも内閣支持率は23%、不支持率は66%。自派閥を解散という大きな決断をした割に、支持率は上がっていないのだ。

「国民に見透かされているということでしょう」

 と語るのは、03年に初当選後、2期目から宏池会に所属してきた三ツ矢憲生・前衆議院議員。2021年に政界を引退後、現在は宏池会のご意見番として、議員らの相談に乗っている。

「宏池会解散は岸田さんの思いつきのパフォーマンスという面が強かったと思います。支持率が低迷する中で“岸田もやるときはやる”という姿勢を見せて、あわよくば支持率を上げようという思いがあったのでしょう。今回の件は宏池会の前会計責任者が立件されることになったことが引き金になったのは間違いありません。立件されれば、岸田さんが宏池会会長だった時の事案となるので、自分に累が及ぶ可能性がある。それを避ける意味もあったはずです」

『宏池会愛』が感じられない

 他派から先んじる狙いもあったという。

「同じく捜査対象になっている安倍派や二階派が先に解散を打ち出す可能性もあったので、機先を制したのでしょう。政治刷新本部の結論が出ない中で、岸田さんの派閥解散表明は政治資金の問題を派閥の問題に矮小化させているように感じます。まもなく国会が始まりますから、国会での追及逃れのためという考えもあったでしょう」

 宏池会は池田勇人元総理が1957年 に創設し、自民党でも最古の歴史を誇る。

「中堅、若手議員の中で宏池会について真面目に考えてきた議員ほど困惑しています。誰かに誘われて入会した人だけでなく、政策に共鳴して入っている人もいて、そうした政治家は戸惑っているのです。しかし、振り返ると、岸田さんが宏池会の理念を語っているところを見たことがなく、『宏池会愛』は残念ながら感じられません。だから、防衛費増など政策面で安倍路線を踏襲してしまう。そもそも岸田さんは派閥をすでに離脱しています。自民党総裁として他派にも解散しましょうと呼びかけるなら話は分かりますが、どういう資格で宏池会解散を決断されたのでしょうか。結局、政権の延命が狙いだと思われても仕方ありません。自民党をどうしたいのか、という思いが伝わってこないのです」

 派閥を解消して問題が解決されるわけではないという。

「これは政治の構造の問題です。本当に解消するには、地方にまで手を突っ込まないといけない」

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