なぜ能登半島地震は国の「長期予測」から外されていた? 南海トラフばかり強調の理由は「予算獲得の都合」も

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 多額の公金を投入し、国が大地震の発生確率を予測しているのは周知の通り。が、能登大地震はその予測から漏れていたというから、とんでもない失態である。

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 政府の地震調査研究推進本部では現在、全国の144の主要活断層や、6地域の海溝型地震について「長期評価」を出している。その地震の規模と「〇年以内に〇%」といった発生確率を予測するものだ。

 よく知られた例では、マグニチュード8~9クラスの南海トラフ地震が今後30年以内に起こる確率は70~80%という数字がある。

県が“地震リスクは小さい”と強調

 ところが、だ。

 今地震は能登半島沖の海底活断層が動き、震源となったとみられるが、前出の長期評価では、この断層はそもそも対象にすら入っていなかったのである。

「活断層は陸域にも海域にも存在しますが……」

 と言うのは、東京新聞記者で『南海トラフ地震の真実』の著者・小沢慧一氏だ。

「当初、長期評価では陸地の断層のみをターゲットにしてきました。都市の直下で地震が起きると被害が大きくなりますし、観測もしやすいからです。海域活断層については遅れて2017年に評価が始まり、5年かけて中国地方から九州地方までをようやく発表できたばかり。当該の能登半島沖は、検討が始まったばかりでした」

 また、地震本部は数年に1度、「全国地震動予測地図」を公表。これは30年以内にその地で震度6弱以上の揺れが起きる確率を色分けしたもの。色が濃ければ確率が高く、薄ければ低いことを示し、ハザードマップも公開しているが、

「この予測地図を見ても、最新の2020年版では、石川県の大部分でその確率は0.1~3%未満と分類されていました」(同)

 これを見て人々が安心していたのは想像に難くなく、

「県が企業誘致のために開設したHPを見ると、予測地図の石川県部分を示し、“地震リスクは小さい”と強調しているくらいです」

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