「スーパータイム」時代が懐かしい…NHK「青井実アナ」はフジ「Live News イット!」の救世主になれるか

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

Advertisement

 NHK「ニュースウオッチ9」(月~金曜午後9時)のMCを務めている青井実アナウンサー(43)が近く退局し、4月からフジテレビの夕方のニュース「Live News イット!」(月~金曜午後3時45分)のMCになる。芸能事務所には所属せず、個人で活動する。移籍交渉も本人とフジで直接行われた。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】

退局後、個人で活動は最近のトレンド

 アナウンサーの青井実氏がNHKを離れ、個人で活動する。初仕事はフジ「Live News イット!」のMC。4月から同番組の顔になる。

 1990年代以降、NHKを退局したアナは芸能事務所に所属するのが一般的だった。97年退局組の草野満代氏(56)と2012年退局組の神田愛花氏(43)はセント・フォース、11年退局組の住吉美紀氏(50)と13年退局組の堀潤氏(46)はノースプロダクションにそれぞれ所属している。

 18年退局組の登坂淳一氏(52)はホリプロ、同年に退局した有働由美子氏(54)はナチュラルエイト、23年退局組の武内陶子氏(58)はサンミュージックといった具合である。

 芸能プロに所属することで得られるアナ側のプラス面は少なくない。出演交渉やギャラ交渉、スキャンダルを起こしてしまった際の処理などをやってもらえる。一方、芸能プロ側にもメリットはある。MCのギャラは1980年代後半から高騰したため、十分なマネージメント料を得られる。

 この流れが近年、変わってきた。21年に定年退局した元政治部記者・大越健介氏(62)は個人で活動している。23年退局組の武田真一氏(56)は個人事務所。2人とも複数の芸能プロから誘われたが、個人でやる道を選んだ。

 個人でやる場合もプラス面はある。局側から懇願されようが、嫌な仕事はやる必要がない。やりたい仕事が出来る。マネージメント料も発生しない。ただし、個人での出演交渉は難しく、ギャラ交渉も報酬を低く抑えられてしまいがちなのが実情だ。

アナは出世できないNHK

 03年入局組の青井氏は大阪拠点放送局、東京アナウンス室、再び大阪拠点放送局での勤務を経て、17年から東京放送局に戻っている。NHK側は公式に認めないが、東京と大阪での勤務しかないのは花形アナの証である。定年まで地方局に勤務するアナもいる。

 それでも青井氏は、NHKにとどまっていると組織内で上に立つのが難しい。民放の場合、アナ出身者が他部署で要職に就くことがよくある。副社長にまでなったケースもあるが、NHKは一部のアナがエグゼクティブアナウンサー(局次長級、局長級、理事待遇)に就く程度。

 しかも理事待遇になる人はごく少数であり、近年では「NHKニュースおはよう日本」(97~03年)でMCを務めた三宅民夫氏(71)ぐらい。09年の人事だった。過去には加賀美幸子氏(83)、松平定知氏(79)、山根基世氏(75)らが理事待遇に就いたが、いずれも民間企業の役員にあたる理事には昇格していない。アナが厚遇されているとは言い難いのが退局者の多い理由の1つだろう。

 年収も民放と比べると低い。40歳のアナの場合、時間外や諸手当を除くと、1000万円に届かないとされている。一方、民放で平日の帯番組のMCをやると、年俸5000~8000万円以上は堅い。

 NHKアナにとって辛いのは収入面より異動だろう。55歳で退局した武田真一氏の場合、熊本放送局、松山放送局、東京アナウンス室、沖縄放送局、東京アナウンス室、大阪拠点放送局と異動を繰り返した。

 43歳の青井氏も60歳まで勤務していたら、最低でも1、2回は異動したはず。22年にテレビ東京の相内優香アナ(37)と結婚し、自身も東京生まれの青井氏にとって、異動は避けたかっただろう。

次ページ:大苦戦を続けている「Live News イット!」

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。