官邸にいるのにわざわざ防災服を着ていた岸田首相 新年会でもそのまま挨拶…かつて「わざとらしい」と言って防災服を拒否した首相がいた

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細川護煕と石原慎太郎の違い

 毎日新聞の論説委員などを歴任した岩見隆夫氏も同様の批判を行った。同紙に連載していたコラム「近聞遠見」で、菅氏の服装を《防災服を着込んで、現場主義を気取ったにすぎない》と一刀両断している(註3)。

「防災服を着なかったことで話題を集めた首相もいました。1993年8月に鹿児島県で豪雨災害が発生した際、当時、首相だった細川護煕氏は『防災服なんてわざとらしい。自然体でやりたい』とスーツ姿で被災地を訪問したのです。意外にも批判的な報道は少なく、細川氏が戦国大名・細川忠興の直系子孫だったことから“殿様流”と受け止めたメディアが多かったようです」(同・記者)

 逆に、防災服で選挙活動を行い、話題を集めた都知事もいた。2011年の都知事選で4選を果たした石原慎太郎氏だ。

「当時は東日本大震災が発生してから、まだ1カ月しか経っていませんでした。石原さんは都知事選に立候補しましたが、『選挙をやってる場合じゃない』と公言し、選挙期間中も都の防災服で通しました。街頭演説は1日しか行わず、避難所の被災者のお見舞いには注力するという異例の選挙戦を敢行し、4選を果たしました。有権者から『なぜ防災服で選挙活動を行うのか』という批判が出ることもなく、全国紙は石原氏の4選に『都民は現職の安定感を支持した』と総括しました」(同・記者)

批判の理由

 結局のところ、支持を集めている政治家ならどんな服装でも問題にはならない。だが低い支持率に悩む首相が“これ見よがし”に防災服を着用すると、たちまち批判されるということなのだろう。

 ちなみに、首相はどのような状況で防災服を着るべきか、内規のようなものはあるのか、と内閣府や内閣官房に取材申請を打診した。だが、「担当者は被災地に出張している」などの理由で申請もできなかった。

註1:【正論】防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛 乱にあって別の乱を忘れるな(産経新聞:2011年4月5日朝刊)

註2:連載「リーダーの掟」(第59回)大失態の危機管理! 菅政権の罪、万死に値す(PRESIDENT:2011年4月18日)

註3:近聞遠見 菅首相に足りないもの=岩見隆夫(毎日新聞:2011年4月16朝刊)

デイリー新潮編集部

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