官邸にいるのにわざわざ防災服を着ていた岸田首相 新年会でもそのまま挨拶…かつて「わざとらしい」と言って防災服を拒否した首相がいた

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 官邸にいる岸田文雄首相は、わざわざ防災服を着る必要があったのか──このような議論、いや批判が、SNSで頻繁に投稿されている。改めて振り返ると、1月1日に能登半島地震が発生し、岸田首相は翌2日、防災服姿で記者会見に臨んだ。

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 4日の年頭記者会見でも防災服を着用し、5日に自民党で開かれた新年仕事始めも同じだった。さらに同日、時事通信社などが主催する新年互礼会にも防災服で出席したのだが、これにはSNSで異論が殺到した。担当記者が言う。

「そもそも『被災地は大変な状況なのに、新年互礼会に出席している場合か』という批判が相当な数に達していました。その上で、岸田首相は互礼会に防災服姿で登壇し、胸元に赤い花を付けたのです。会場の“ルール”だったのでしょうが、チグハグな印象を持った人は多かったようです。『この状況ならスーツのほうが自然では?』という意見や『悪ふざけの合成写真かと思った』といった驚きの声が多数投稿されました」

 ちなみにこの日、互礼会の前に開かれた経済3団体の新年会にも、岸田首相は防災服姿で出席している。

 7日には首相官邸で非常災害対策本部会議が開かれ、岸田首相は防災服で出席。ところが、この日は東京地検特捜部が政治資金規正法違反の疑いで自民党安倍派の衆議院議員・池田佳隆容疑者を逮捕した。岸田首相は防災服姿で記者団に対応を説明し、池田容疑者の除名を発表した。

「ムダなパフォーマンス」

「災害が発生した際、官邸での執務中も防災服を着続け、批判が殺到した首相は、実は岸田さんが初めてではありません。2011年3月に東日本大震災が発生すると、当時首相だった菅直人さんは、常に防災服を着用していました。世論の関心は相当なものがあり、菅さんは年度が替わった4月1日からスーツ姿に戻ったのですが、全国紙など複数のメディアが『防災服を脱いだ』という記事をわざわざ配信したほどでした」(同・担当記者)

 菅氏の場合、世論だけでなく識者からの批判も目立った。例えば、防衛大学校名誉教授の佐瀬昌盛氏は産経新聞に寄稿し(註1)、3月29日の参院予算委員会で首相の菅氏と8人の閣僚が全員、防災服を着ていたことを「不気味」で「危険」と評した。あまりに硬直的でゆとりがない。危機管理を担う内閣はもっと自由な雰囲気のほうが底力を発揮できる──というのが寄稿の骨子だった。

 小泉内閣や安倍内閣で“ブレーン”を務めた飯島勲氏も、月刊誌PRESIDENTの連載で「防災服とは、現場に出入りする人間が着用するものだ」と批判した(註2)。

「飯島さんの指摘は個人的な見解ではなく、複数の全国紙が、首相が防災服を着用する場面として、【1】『防災の日』などの防災訓練に参加する際、【2】被災地を視察する際──の2点を基本として挙げています。どんな服装で仕事をするのかは首相の自由だとはいえ、東京で指揮を執っている際も着用する必要があるのかという論点は傾聴に値するでしょう。飯島氏は先の連載記事の中で、菅氏が官邸でも防災服に身を固めていたことについて、《ムダなパフォーマンスのにおいがプンプンする》と一蹴しました」(同・記者)

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