野菜のあく抜きは不要? 納豆は加熱すると酵素の効果が消える? 食べ方で変わる栄養効果を専門家が解説

ドクター新潮 ライフ

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おでんの大根の栄養はほぼ食物繊維だけ

 また、よく知られているように多くの野菜の皮には栄養が豊富に含まれているので、できれば皮むきはしたくないところです。たしかにニンジンも皮をむかずに醤油で煮たりすると、皮の部分が黒ずんで見た目は悪くなります。しかしニンジンの皮には、皮膚や粘膜の健康を維持し、アンチエイジング効果があるβ-カロテンなどの栄養成分が中心部の倍くらい含まれています。ですから見た目や食感は気にせず、やはりぜひ皮を捨てないでもらえればと思います。ニンジンや大根は、もみじおろしや大根おろしにすれば皮をむかなくても食感は全く気にならなくなります。

 ちなみに大根は、冬の風物詩であるおでんの代表的な具材のひとつです。しかし、大根の重要な栄養成分で、消化不良などに効くジアスターゼは酵素で熱に弱く、50℃を超えると活動が弱くなり、70℃になると働きを失ってしまいます。さらに、大根に豊富に含まれるビタミンCもおでんの汁の中に溶け出します。したがって、実はおでんの大根に残っているのは食物繊維くらいで、ほとんど栄養はなくなってしまっているのです。

ピーマンの種とワタ

 皮と同じく、捨ててほしくないのがピーマンの種とワタです。そこには、血液サラサラ効果があり、生活習慣病予防が期待できるピラジンという成分が最も多く含まれているからです。捨てるのは本当にもったいない。食感を気にする方もいますが、みなさん、シシトウの種はそのまま食べますよね。それと同じことで、ピーマンだけ種とワタを捨てるのは逆に変であると発想を転換することもできるのではないでしょうか。

 例えばピーマンの肉詰めを作るのであれば、ヘタのところを輪切りにしてそこから種もワタも一緒に肉詰めする。焼いてしまえば、種とワタの食感は気にならなくなります。なおピーマンには一般的に熱に弱いとされるビタミンCも多く含まれていますが、ビタミンCを熱から守ってくれるビタミンPも含んでいるため、加熱によってあまり栄養成分が変わらない野菜のひとつです。

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